鉄道の災害運休区間、路線廃止で大幅減…4月末

鉄道 企業動向
4月末時点での災害運休区間。3月末に比べ約64kmの大幅減だが、半分以上は岩泉線の廃止によるものだ。
4月末時点での災害運休区間。3月末に比べ約64kmの大幅減だが、半分以上は岩泉線の廃止によるものだ。 全 2 枚 拡大写真

災害による鉄道路線の運休区間は、4月末時点で4社12線13区間・計394.6km。3月末から63.9kmの大幅減少となった。

減少分のうち半分以上の38.4kmは岩泉線の廃止によるもので、実質的な運転再開距離は25.5kmにとどまる。災害運休のまま廃止に至ったケースは、2005年9月の水害で不通となった高千穂鉄道高千穂線(2008年12月28日までに全線廃止)以来、5年3カ月ぶりだ。

4月中に運転を再開したのは、東日本大震災で被災した三陸鉄道の南リアス線吉浜~釜石間と北リアス線小本~田野畑間。これにより三陸鉄道は3年ぶりに全線の運転を再開し、震災不通路線を抱えるのはJR東日本の1社だけとなった。

このほか、4月1日の土砂崩れで飯山線の一部が不通となったが、月内に再開している。


(4月5日に全線の運転を再開した三陸鉄道南リアス線と、BRTによる仮復旧が図られた大船渡線BRTの同時発車)
■JR東日本 山田線 宮古~釜石(岩手県) 55.4km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。JR東日本はバス高速輸送システム(BRT)による仮復旧の意向を示したが、鉄道の早期再開を求める沿線自治体との間で交渉が難航。JR東日本は1月31日、同社が線路施設を復旧し、復旧後の運行は三陸鉄道に移管する案を沿線自治体に示した。

■JR東日本 大船渡線 気仙沼~盛(宮城・岩手県) 43.7km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2013年3月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道を整備した。

■JR東日本 気仙沼線 柳津~気仙沼(宮城県) 55.3km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。2012年8月から鉄道復旧までの暫定策としてBRTを導入し、線路敷地の一部を活用したバス専用道を整備した。

■JR東日本 石巻線 浦宿~女川(宮城県) 2.5km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。この春から復旧工事に着手し、2015年春の再開を目指す。終点の女川駅は内陸側に移設する。

■JR東日本 仙石線 高城町~陸前小野(宮城県) 11.7km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。ルートを内陸側に移設した上で2015年にも再開する予定。

■JR東日本 常磐線 広野~竜田~原ノ町(福島県) 54.5km
東日本大震災の地震動と津波で路盤が崩壊するなどの被害。福島第一原発の警戒区域などに入っているため、被害調査もほとんど進んでいない。広野~竜田間8.5kmは2012年8月から避難指示解除準備区域に移行しており、JR東日本は沿線自治体の帰町判断にあわせて再開する方針。

■JR東日本 常磐線 相馬~浜吉田(福島・宮城県) 22.6km
東日本大震災の津波で路盤が流失するなどの被害。ルートを内陸側に移設して運転を再開する計画が立てられている。この春から工事に着手し、2017年春にも再開する予定。

■JR東日本 只見線 会津川口~只見(福島県) 27.6km
2011年7月の豪雨で橋桁が流失するなどの被害。この区間はもともと利用者が極度に少なく、JR東日本も復旧の可否について「総合的に検討を進め」るとしており、復旧のめどは立っていない。2013年11月には沿線自治体の市町村長らで構成される復興推進会議が発足している。

■JR東海 名松線 家城~伊勢奥津(三重県) 17.7km
2009年10月の台風18号により橋台の流失や土砂の流入などが発生。一時は鉄道を廃止する方針が示されていたが、関係自治体が鉄道施設周辺の治山事業などを実施することを条件に復旧の方針に転換した。2015年度内の再開が予定されている。

■信楽高原鐵道 信楽線 貴生川~信楽(滋賀県) 14.7km
2013年9月の台風18号による大雨で橋桁が一部流失し、全線運休中。一時は廃止の可能性も取りざたされていたが、滋賀県の支援や国の補助により再開に向けて動き出した。12月までに再開する模様。

■JR西日本 三江線 江津~浜原(島根県) 50.1km
2013年8月に発生した豪雨の影響で橋脚が流失するなどの被害。同年11月から復旧工事が始まり、今年7月中にも再開する見込み。

■JR西日本 山陰本線 須佐~奈古(山口県) 19.8km
2013年7月の豪雨で橋脚の沈下などが発生。再開は秋頃の見込み。

■JR西日本 山口線 地福~津和野(山口・島根県) 19.0km
2013年7月の豪雨で橋桁が流失するなどの被害が発生。再開は秋頃の見込み。

■(※参考)JR東日本 飯山線 戸狩野沢温泉~森宮野原(長野県) 22.2km
4月1日未明に桑名川~西大滝間で発生した土砂流出の影響で運転を見合わせたが、4月14日に復旧した。

◎4月の再開区間
4月1日(※廃止):JR東日本 岩泉線 茂市~岩泉(岩手県) 38.4km
4月5日:三陸鉄道 南リアス線 吉浜~釜石(岩手県) 15.0km
4月6日:三陸鉄道 北リアス線 小本~田野畑(岩手県) 10.5km

《草町義和》

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