お盆の渋滞、トラックドライバーに学ぶ低燃費、安全な走り方

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燃費の良い走りをすることで、安全運転だけでなく渋滞の緩和にもつながる
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夏休みの帰省など、お盆の時期は、慣れぬ高速道路での長距離運転を強いられる方も多いことだろう。そんな人たちが願うことは、誰もが同じ。つまり、燃費が良いこと、交通事故に遭わないこと、そして交通渋滞に巻き込まれないことだ。

そして、捨てる神あれば救う神があるように、世の中には、そんなお盆ドライバーの願いをかなえる運転方法が存在する。そのヒントは、日々、そうした運転を強いられるプロフェッショナル・ドライバーの走りにあった。トラック・ドライバーだ。

燃費の良い走りをトラック・ドライバーに学ぶ

高速道路を、毎日のように仕事として走り回るトラック・ドライバーに命じられるミッションは、安全であり、燃費の良い運転だ。そんな彼らの走り方からは、ある一定の走り方を見いだすことができる。それは、前走車との車間距離を大きめに取ること。実は、この走り方が、高燃費と高い安全性を生み出す。しかも、それだけではなく、その走りは渋滞抑制にもなるのだ。

たとえば高速道路を燃費よく走るベストな方法とは何か? それは、無駄にアクセルを踏まない=無駄な加速を行わないことである。その実現には無駄な減速をしないことが必要となる。無駄な減速とは、前走車のスピード調整にあわせた減速である。

高速道路走行の場合、単独であれば、速度を一定に保つことは簡単だ。ところが前走車がいると、けっこうな頻度でスピード調節を強いられることになる。それは前走車がブレーキを踏むから。では、その前走車がどうしてブレーキを踏むかというと、前走車のさらに前の別のクルマが減速しているのが原因となる。

つまり、前を走るクルマの減速が、後ろに伝わってゆく。しかも、そうした減速の伝染では、後ろのクルマにいくほど速度が下がる。どんどんとスピードが下がっていくと、最後には渋滞になる。実は、高速道路の渋滞発生の原理のひとつは、こうした前走車のブレーキが後ろに伝わることである。

それを防ぐには、前走車との車間距離を大きめにとるのがよい。別に、普段の何倍もとれというのではない。前走車が、ちょっとブレーキを踏んだくらい(実際の速度低下は微小)というときに、間に50mほどあればいい。時速80kmで走行しているときで2秒ちょっとの距離だ。それくらいあれば、前走車の軽いスピード調整くらいでは、こちらが減速する必要はほとんどない。つまり、減速後の無駄な加速がないため、無駄なガソリン消費が省かれる。燃費が向上するのだ。

そして、無駄なブレーキを自分が踏まなければ、当然、後続車も無駄に減速する必要がない。それは、渋滞の発生を抑制することにつながる。

燃費運転を意識すれば安全運転にもつながる

さらに、もうひとつ良いことがある。それが安全性の向上だ。高速道路で多い事故といえば、前走車への追突だ。しかし、車間距離が十分にあれば、追突事故のリスクは大きく低下する。また、自分も急減速しないわけだから、後ろから突っ込まれる可能性も低くなる。

どうであろうか。車間距離を十分にとるだけで、燃費が良くなり、渋滞の発生も抑制され、安全性も高まる。よいことずくめだ。

あえて悪いことを言えば、空いた車間に他のクルマが割り込んでくる可能性だ。確かに、何台も簡単に入れるようでは、車間距離は無駄に大きいかもしれない。微妙にはいりづらいなという距離くらいが適正ではないだろうか。しかし、実際に数台くらい割り込まれても、目的地に到着する時間は、数秒も変化しない。高速道路の移動は競争ではないのだから、ムキになって割り込みを邪魔するのは、まったくもって意味のない行為だ。気持ち良く、「お先にどうぞ!」と言った方が、自分も割り込んだ相手も気分がよいだろう。

追い越し車線の使い方を考える

それと、もうひとつ、普段、高速道路を走っていない人に知ってもらいたいことがある。それは、高速道路の一番右の車線の意味だ。それは普通の車線ではない。「追い越し」のための車線なのだ。つまり、前走車を追い越し終わったら、中央、もしくは左側の「走行車線」に戻るのがルールである。いつまでも「追い越し車線」に居残るのはルール違反。また、「追い越し車線」を走行中に、後ろからの車両に追いつかれたら、すぐに「走行車線」に戻る。これを守るだけで渋滞はグッと減る。

「車間距離を大きめにとる」の実践は誰にでもできる簡単なワザだ。それだけで燃費、安全性、渋滞抑制が可能となる。さらに「追い越し車線をあける」というルールを守ると、まわりも喜ぶこと間違いなし。

走っている人がみんな気持ちの良い高速道路走行を目指そうではないか!

《鈴木ケンイチ》

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