よくも悪くも、『アクア』に乗っているとなにもいらなくなる。「よく」というのは、足るを知るという精神から。これで本当に十分なのだ。「悪く」というのは、人間、満足しちゃうと成長しなくなるからである。
コンパクトなのに大人4人が十分ゆったりと乗れるパッケージ。ハイブリッドなのにこの価格。当然、燃費もいい。インテリアは、シフトレバーひとつ見ても、社内ライバルのヴィッツに比べれば数段格上の雰囲気をかもし出している。ハイブリッドならではの社内特典なのかも。
そしてやはり、『ヴィッツ』には負けられない気分はあるらしい。ヴィッツのボディ剛性が上がり評価が上がったとなるとライバル意識はめらめらで、こちらもスポット溶接を増やしてきた。ヴィッツは欧州に販売するからわかるけれど、アクアは売らないのに。だから見えないところの溶接なんてしなくても(暴言失礼ふたたび)実売には関係ないだろうにと、こちらが心配になるくらいだ。
ただ、下からは軽自動車がせまってくる。「やっぱりリッターカーは違うわね」と言ってもらうためには、はずせない時代になってきたのだろう。
乗り心地が格段によくなったアクア。ボディがかちっと決まった感じがよくわかる。そしてもうひとつの改良点は、ブレーキの感触だ。これまでは停止する直前で、くっと減速が強まるところがあった。ペダルがひっぱられていくような違和感というか。それがなくなっているのである。マイナーチェンジ、恐るべし。
よく「断りなく改良のため変更することがあります」という台詞を見るけれど、これ、断ったほうがいいですよ。もっと大声で「違和感なくなりましたー! 乗り心地上がりましたー!」と、叫んでいただきたい。いっしょに叫んであげますから。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材中するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。