【WTP2015】日本の自動運転の実現に欠かせない、準天頂衛星「みちびき」

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準天頂衛星の実物大模型
準天頂衛星の実物大模型 全 4 枚 拡大写真

ワイヤレステクノロジーパーク2015の会場内に人工衛星の実物大模型を発見した。これは準天頂衛星のモデルだ。

2010年に打ち上げられた「みちびき」という日本の準天頂衛星を御存じだろうか。カーナビやレーダー探知器などにみちびき対応機が登場しており、利用者は増加中なのである。

この模型を展示していた衛星測位利用推進センターのブースで準天頂衛星について、詳しく話を伺うことができた。準天頂衛星とは、日本の上空に長く留まっている軌道をもつ人工衛星のことで、GPSと同じ測位信号などを送受信して、正確な測位を実現してくれるものだ。

GPSは、4機以上の衛星から測位信号を受信することで、自分の位置を特定することができる技術。個人でもカーナビやスマホなどで利用しているが、建築土木の測量や防災(最近話題の火山の隆起など)といったように幅広い分野で活用されているものだ。

しかしGPS衛星の測位信号だけでは電離層などの影響で10m程度の誤差が生じてしまう。そこでDGPS(デファレンシャルGPS)と呼ばれる地上局からFM電波に乗せて測位信号を送って補完し、誤差を1m以内にする技術や、静止衛星から同じく測位信号を送って補完するMSASなどが活用されているが、そもそも建築物による電波障害などもあって地上での利用はそれでも完全ではない。そこで計画されたのが準天頂衛星なのである。

「準天頂衛星は赤道より傾いた衛星軌道で、地球の公転と合わせると日本とオーストラリアの上空を8の字を描くように回っています。しかも日本の上空側に長時間留まるような軌道になっているんです」。と説明員。これによりGPS衛星の受信数が不足する状況でも、確実に測位することができるようになるそうだ。

現在、準天頂衛星は「みちびき」1機だけなので、GPSの補完機能としてしか役立っていないが、2018年度までにあと3機打ち上げることで常時高精度な測位サービスが可能になるという。さらに将来的には7機体制とすることで測位の精度は数cmにまで高められるそうだ。

そうなれば、自動運転車の測位検出が確実になり、カメラやレーダースキャナーと組み合わせることで、完全な自律走行が実現できるだろう。これは日本国内の自動運転に向けたインフラ整備に欠かせない要件とも言えそうだ。

《高根英幸》

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