【エンジンオイル講座 vol.1】なぜ、エンジンオイルが必要なのか…5つの役割

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エンジンオイルの例(カストロール「EDGE 0W-20」)
エンジンオイルの例(カストロール「EDGE 0W-20」) 全 5 枚 拡大写真

エンジンが正常に作動するのに不可欠なアイテムがエンジンオイル。どんなに進化したエンジンでもエンジンオイルなしでは正常に作動しない。それはガソリンエンジンでも、ディーゼルエンジンでも、レシプロエンジンでも、ロータリーエンジンでも変わらない。では、エンジンオイルはエンジンのなかでどんな役割をしているのだろうか? エンジンオイルが担っている5つの役割について説明していこう。

1. 潤滑
まず1番にあげられるのが「潤滑」という役割。オイル、つまり油のツルツルしている性質を利用するのがこの「潤滑」。ピストンとシリンダーの関係に代表されるようにエンジン内部では金属と金属が接触し、擦れ合っている。オイルがない状態で金属同士を擦り合わせると、摩擦熱であっという間に焼き付いてしまう。金属と金属の間にオイルを介在させることで摩擦熱の発生を緩和できるというわけだ。

2. 冷却
2番目は「冷却」。エンジンのなかで発生した熱をオイルが吸収してエンジンの外に逃がす役目。原理は冷やし中華を作るときに茹でた麺を水につけると冷たくなるのと同じ。このとき冷やす水がぬるいと上手に冷やせないのと同じように、オイルの温度(油温)はある程度のレベルに保たれないとならない。高性能なエンジンの場合は、オイルクーラーなどが追加されてオイルの温度が管理されている。

3. 密閉
3番目は「密閉」。ふたたびピストンとシリンダーの関係見てみよう。ピストンにはピストンリングという部品がついている。正確には、このピストンリングとシリンダー内壁が接触していて燃焼室で発生した燃焼ガスを密閉してピストンを押し下げいているが、ピストンリングだけでは密閉は不可能。ピストンリングとシリンダー内壁の間には、オイルが介在して燃焼ガスがピストンの下に漏れることを防いでいる。これはオイルが粘っているという性質が利用したものだ。

4. 防錆
4番目。これは皆さんご存じの性能、「防錆」(「ぼうせい」が正しい読みだが、わかりやすく「ぼうさび」と発音することもある)だ。防錆というのは読んで字のごとく、錆を防止するためのもの。エンジンのなかの部品は、オイルで被膜ができていなければアッという間に錆びてしまう。オイルで錆を防げるのは、被膜が金属表面を燃焼ガスの中で発生した水分や酸性成分などと遮断することと、オイルが水分や酸性成分を取り込んで金属に影響を及ぼさないようにするからだ。

5. 清浄
最後の5番目は「清浄」。エンジンのなかで燃料が燃えると、二酸化炭素や窒素酸化物だけでなく、さまざまな副産物が生まれる。なかでも代表的なものがスス。エンジンオイルが黒く変色する最大の原因がこのススだ。清浄性能とはオイルが汚れを取り込んで、その汚れを放さず、なおかつオイルの性質を変化させないことだ。

さらに、オイルの性能を示すいろいろな規格があるが、エンジンオイルの場合もっとも有名なのが、SAE粘度分類と言われるもの。多くのエンジンオイルは「5W-40」というようにWがついた数字と、数字だけのものを組み合わせた粘度表示が行われている。Wがつくのは低い温度での粘度、数字だけは高い温度(100度C)での粘度。数字が大きいほど粘っこいということ。例えば「5W-40」の表示は、低い温度でも5の柔らかさを維持、高い温度でも40の粘度を維持する性能を持っている…という意味だ。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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