2015年、NHK大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台として注目された山口県は、2017年にディスティネーションキャンペーン(DC)をむかえる。その山口宇部空港の500m北には、乗車人員100人未満、列車は上下1時間1本ペースという無人の空港最寄駅がある。JR宇部線草江駅だ。
空港関係者は「空港利用者のほとんどがマイカーや高速バスを利用。正確なデータはないが、宇部線草江駅を使って電車で移動する人は、きわめて少ない」と話す。12月中旬、山口駅から山口線、宇部線の列車を乗り継ぎ、草江駅で降り、20時発羽田行き最終便(SFJ16)に搭乗した客は、わずか2人だった(写真32枚)。
無人駅の草江駅のまわりには、飲食店や観光案内所などもなく、夜はひっそり。駅のさびしさとは対照的に、レンタカー店舗は盛況で、スタッフは「山口県内をフルにめぐろうという客はレンタカーを選ぶ。西には角島や北浦街道(国道191号)といった海辺の道が人気だし、ことし日本ジオパークに認定された秋吉台や、世界遺産に登録された萩反射炉、恵美須ヶ鼻造船所跡など、そのほとんどがドライブ名所だから」と話す。
「長州地鶏・黒かしわを発信する長門の街や、ジビエ料理に取り組む下関の山間などをクルマで結べば、鶏・猪・鹿といった“肉つながり”のドライブが愉しめる」(県担当者)
2年後のDC開催が決まり、「2018年の明治維新150年に向けた『やまぐち幕末ISHIN祭』とも連動させ、JRと連携し観光客の受け入れ体制強化をすすめる」という県だが、草江駅の利用促進や周辺の整備については「いまのところ未定」とも話していた。