「限界を超えた超新星」の起源を初めて解明

宇宙 科学
広島大学1.5mかなた望遠鏡で取得された超新星爆発SN 2012dnの星野画像
広島大学1.5mかなた望遠鏡で取得された超新星爆発SN 2012dnの星野画像 全 4 枚 拡大写真

甲南大学理工学部の山中雅之・平生太郎基金研究員の研究グループは、限界を超えた超新星「SN2012dn」の観測で、強い赤外放射を捉えた起源天体が「降着説」である証拠を史上初めて突き止めたと発表した。

銀河に匹敵するような明るさで輝き、どの天体でもほとんど同じ絶対的な明るさを持つ「Ia(イチエー)型超新星」は、遠方銀河の距離を精密に測定する道具として使われてきた。ただ、2つの星が周り合う連星系が起源であること以外、その起源は解明されていなかった。

起源として考えられた「降着説」は、片方が白色矮星、もう一方が通常の恒星である場合、白色矮星への物質降着が起こり、限界質量に到達し爆発に至るもの。ただ、限界質量を超えた白色矮星の爆発でなければ説明が困難な特異な「限界を超えた超新星」が数例発見され、従来の標準的な「降着説」では簡単に説明することができなかった。

今回、研究グループではSN2012dnという「限界を超えた超新星」を、光・赤外線天文学大学間連携を通して11台もの望遠鏡を総動員して徹底観測することで、通常では見られないような非常に強い赤外線放射を捉えることに成功した。

これを詳細に解析した結果、赤外線放射は、爆発する前の天体からの放出物由来であることを突き止めた。また、超新星から放出物までの距離は0.2光年程度であることも明らかにした。「限界を超えた超新星」で爆発前の天体由来の放射が観測されたのは初めて。

その放出率を見積もったところ、長年未解決であった起源天体の正体が「降着説」であることを明らかした。

今回の研究成果は「Publication of the Astronomical Society of Japan」オンライン版に掲載された。

《レスポンス編集部》

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