三菱重工業と千葉工業大学が共同開発した、国内初の防爆仕様遠隔操縦ロボット「桜II号」は、バッテリー、クローラー、カメラ、ガス検知器、無線アンテナなど、12のおもなユニットで構成され、自分自身が発火しないという「防爆性」を備えている。
桜II号は、縦71センチ、横42センチ、高さ54センチ、重さは60キログラム、「人の手で持ち運べる」というサイズ。千葉工大が開発した「櫻弐號(サクラニゴウ)」がベースで、東京電力福島第一原子力発電所内部で建屋最上階まで到達・調査した「Quince」をルーツとしたモデル。
構成は、バッテリー、メインクローラー、サブクローラー、PTZカメラドーム、無線アンテナ、内圧室、光ファイバーリール、ガス検知器、前方照明、後方照明、前方監視カメラ、後方監視カメラが組、それぞれに防爆型式規定に沿った加工が施されている。
たとえばバッテリー。リチウムイオン電池やバッテリーマネジメントシステム(BMS)などが収まる容器は、内圧と耐圧防爆の二重構造で、「たとえ内圧容器破損などで内圧が下がっても検知により電気供給を遮断。電気火花や熱などがガスに引火する危険性が大幅に抑制された」という。この電源で2時間半、連続で稼働できる。
クローラーも帯電しない導電グレードを使用。45度の傾斜も昇り降りや、階段も行き来する。スピードは時速1.2キロで、デモ走行では、わずかなモーター音とクローラーと床がこすれる音だけが聞こえた。
操作は光ファイバーケーブルリールによる有線で1000メートル、無線でも1000メートル離れたところから遠隔で操縦できる。コントローラーは汎用品で、Logitech社製PC用ゲーミングコントローラーが使われていた。形状は同社のゲームパッド「F310」に似たタイプだった。