日産自動車は7月27日、2016年度第1四半期決算を発表した。それによると、売上高2兆6545億円(前年同期比8.4%減)、営業利益1758億円(同9.2%減)と円高の影響を受けて減収減益だったが、その業績以上に深刻だったのは国内販売の状況だ。
なにしろ9万台と前期に比べて25.4%も減っているのだ。そして、シェアに至っては2.7ポイントも下がり、一ケタの8.3%、屈辱的とも言える数字だ。その原因は軽自動車の生産を委託している三菱自動車の燃費不正問題の影響とのことだが、果たしてそれだけだろうか。日本のユーザーが魅力的に思う車がないのが大きな原因ではないのか。
いくら自動ブレーキなど最新の技術を搭載しても、乗ってみたくなるような車でないとユーザーは買ってくれないだろう。ここ数年の販売シェアが2011年度13.8%、12年度12.4%、13年度12.6%、14年度11.8%、15年度11.6%と下落傾向になっているのも、その現れと言っていい。
グローバル販売に力点を置いている現状では、それも仕方がないのかもしれないが、日本市場は日産のホームグランドだ。いくら低迷が続いているからといって、こんな調子でいいはずはない。
国内販売を担当している星野朝子専務執行役員によると、8月24日に発売する新型『セレナ』を契機に攻勢に出るという。「セレナは元々すごい人気車種で、予約注文が相当たまっている。ロケットスタートでいきたいと思っており、現在セールス活動の準備を販社の方々と一緒に進めている」と星野専務は話す。このセレナはプロパイロットという名前の自動運転技術がウリだ。
確かにセレナは過去の販売実績から見て、販売台数を稼ぐのは間違いないだろう。しかし、1車種だけでは下落傾向のシェアを盛り返すことは厳しいと言わざるを得ない。