摩擦に頼らないブレーキ…曙ブレーキ、2020年実用化めざす

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MR流体を使ったブレーキの原理
MR流体を使ったブレーキの原理 全 2 枚 拡大写真

曙ブレーキ工業は、摩擦に頼らない「MR流体ブレーキ」の研究開発を東北大学流体科学研究所と共同で進めている。

MR流体(Magneto Rheological Fluid)とは、磁気に反応して液体から半固体へと変化する機能性材料。磁場を加えると、液体中に分散された粒径数ミクロンの強磁性体粒子(鉄粉)が磁界方向に整列して鎖状粒子クラスターを形成し、半固体化する。

MR流体ブレーキは、車両に固定した円盤と、ハブベアリングと同時回転する円盤の間にMR流体を充填する構造。ブレーキ内部に配置した電磁石のコイルに電流を流し、円盤と垂直の方向に磁界を発生させることで固定円盤と回転円盤の間に鎖状粒子クラスターができる。回転円盤は回転し続けているため、鎖状粒子クラスターがせん断変形を受け崩壊、隣のクラスターとつながり、また崩壊するという現象が繰り返され、回転円盤に抵抗力(ブレーキ力)が発生する。

MR流体ブレーキは摩耗粉が発生せず、環境負荷軽減に貢献。また、MR流体が磁場に数msという速さで反応するため、俊敏かつ安定した制御が可能となる。さらに、電子制御装置で電圧(起磁力)を直接コントロールするため、あらかじめ設定した効きのパターンの中から、ユーザーが好みのブレーキフィーリングを選べるようになる。

同社は約2年前から、超小型モビリティを対象に研究開発し、2015年3月に試作品を完成。スマートシティやスマートモビリティに適合したスマートブレーキとして、2020年の実用化を目指し、試験と改良を重ねている。

《纐纈敏也@DAYS》

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