国土交通省は26日に「駅ホームにおける安全性向上の検討会」を開催。ホームドアの整備促進などをテーマとして、年内を目途に中間とりまとめを行う。
検討会開催に先立ち、石井啓一国交相は24日の会見で次のように述べた。「銀座線では計画があったが、これを前倒しすることを含めて、ホームドアの整備促進の検討。昇降ロープや昇降バー式など新しいホームドアの技術開発の情報共有や普及促進を行いたい」。
ホームドアの有用性は、鉄道事故が起きるたびに議論されている。この検討会のきっかけとなったのは8月15日、東京メトロ青山一丁目駅での事故だ。視覚障害者が盲導犬を連れたまま転落し、列車に衝突した事故だが、同社では半蔵門線九段下駅でも4月4日にベビーカーを列車ドアに挟んだまま進行し、ベビーカーをホーム鉄柵で破壊するという事故を起こした。この事故防止対策としても、ホームドア設置の前倒しが打ち出されている。石井氏があえて前倒しといったのは、この時期をさらに早めることができないかという思いがある。
さらに、この検討会では安全装置の設置だけでなく、障害者をはじめとする乗客への対応についても議論される予定だ。例えば、駅係員の障害者への付き添い方法は統一されたものがない。その情報共有を行うほか、鉄道事業者だけでやりきれない障害者への誘導案内を一般乗客に対して働きかけるべきという考え方を前に進めて議論する。さらに、盲導犬を連れている視覚障害者の駅ホームの歩き方についてもテーマにする。
検討会には、東京メトロなどの公営交通のほかJR各社、大手民鉄などと関係事業者団体などが出席するが、「まずは鉄道事業者で意見交換を行う」(鉄道局技術企画課)として、障害者団体の参加はない。検討会は非公開。