今年で創業から100年目を迎えるBMWは、3月に本社のあるミュンヘンで開催された100周年記念イベントで次世代のBMWを表現したコンセプトカー『ヴィジョンNEXT 100』を発表したのを皮切りに、6月にはロンドンでMINIとロールスロイスそれぞれの「NEXT 100」を続けざまに発表してきた。そして今回、ロサンゼルスで公開するモーターサイクルの「NEXT 100」で100周年を祝うイベントが完了する。
それに先立って、モーターサイクル部門であるBMWモトラッドから、アメリカンテイストを取り入れたツアラー、『K1600B』が発表された。これは、2015年5月に発表された、“バガー・スタイル”のモーターサイクルのコンセプト、『コンセプト101』の市販版となる。
BMWでは、2004年まで『R1200C』なるツアラーを販売していたが、パワー不足が理由で販売は振るわなかった。ただ、BMWの当時のエンジンラインナップに置き換えできるものがなく、生産を断念したものの、当時から、このタイプのツアラーの再発売を否定してはいなかった。
原型となったコンセプト101は、BMWにモトラッドのデザイン部門に加えて、米カリフォルニア州に拠点を置くBMWデザインワークスと、有名バイクビルダーのローランド・サンズ・デザインが加わった、3者によるコレボレーションによる秀作だ。101キュービックインチ(1.6リットル)の排気量を持つ直6エンジンを搭載していた。
そのコンセプトを受け継いで登場したK1600Bは、最高出力160HP/7750rpm、最大トルク175Nm/5250rpmを生む直6エンジンを積む「K1600」をベースに、“バガー・スタイル”にアレンジしたものだ。モデル名の「B」は、当然のごとく、Baggerの“B”だ。フロントのウインドスクリーンを低めて、リアフレームを低めることでタンデムシートを7cmも下げつつ、リアエンドに2本出しのクロームメッキ・サイレンサーを備える。
特筆すべきは安全性で、電動調整式のウィンドスクリーン、電子制御サスペンションのダイナミックESAを装備し、ダンピングを自動で挑戦する2種のモード(ロード/クルーズ)が備わること。クラッチ操作なしで変速できるシフトアシスタントプロのようなライダー支援も充実しており、万が一の事故などに対応するインテリジェトエマージェンシーコールがオプション設定される。
BMWのバイクと聞いて、「GS」シリーズのようなエンデューロ・モデルを思い浮かべるのがこれまでの常だったが、近年のBMWは、ファッション性の高い「R nineT」が好調なセールスを記録し、インドで生産される『G310R』のようなアンダー400ccの中型にも乗り出すなど、モーターサイクルの分野のなかでも、プレミアムセグメントにおけるフルラインナップを狙う姿勢を見せている。今回のK1600Bについても、アメリカ市場に特化した製品というより、アメリカン・テイストを取り入れた製品で、ラインナップを広げる、という位置づけだ。