「VR元年に何が起こったのか?」---SIE吉田修平氏、新清士氏らが語る

エンターテインメント 話題
吉田修平氏
吉田修平氏 全 5 枚 拡大写真

2016年は「VR元年」と言われ、PlayStation VR、Oculus Rift、HTC Viveなど様々なVRデバイスが登場する年となりました。そんな中、Mogura VRとHIPは12月21日、都内にて「『VR元年に何が起こったのか?』2016年のVR業界を総括的検証」というタイトルのイベントを開催しました。当イベントではパネルディスカッションが開催され、今年VR業界を牽引し、トップランナーとして活躍した下記の4名が登壇しました。

・吉田修平氏(ソニー・インタラクティブエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ プレジデント)・田宮幸春氏(バンダイナムコエンターテインメント AM事業部 VR部VRコンテンツ開発課 マネージャー)・藤井直敬氏(ハコスコ代表取締役 / VRコンソーシアム代表理事)・新清士氏(よむネコ代表)
パネルディスカッションは、Mogura VR編集長の久保田瞬氏のファシリテーションにより進行しました。まず、久保田氏から提示されたお題は、「自社の取り組みは予想に対して期待通りだった?」というもの。これに対し、吉田氏は、「これほどまでにPlayStation VRが買えない状態なので、予想をはるかに超える結果となったと言わざるを得ない」と回答。さらに吉田氏は、「PlayStation VRは全く新しいメディアなので、メディアが出て2~3年経ってから、VRの特徴を生かしたソフトが出てくると思っていたが、そういったことはなかった」とも回答しました。

吉田修平氏
また、お台場でVR ZONEを展開していたバンダイナムコエンターテインメントの田宮氏は、「期間中に3万7千人もの方が来場いただいた。しかも、一人あたり3千円の金額を使ってくださった。不安な気持ちでVR ZONEを立ち上げたが、結果的に、最後まで予約でいっぱいになった」と回答。VR ZONEでは想像を超える客数と単価を得られたようです。さらに、スマホVRのハコスコを展開する藤井氏は、「今年前半と問合せ件数は変わらないが、成立件数が飛躍的に増えている」と回答。コンソール向けやPC向けのVR機器だけではなく、スマホ向けのVR機器の需要も増えているようです。

田宮幸春氏
藤井直敬氏
続いてのお題は、「日本と海外のVRの盛り上がりに差を感じる?」というもの。これに対し、新氏は、「中国は日本とはVR市場の規模が全然違う。聞いた話だと、VRを体験できる店舗が1,000店舗以上あるそう。ただ、コンテンツの面では日本よりも相当な見劣りを感じるそうだが(笑)。また、中国は若者層が市場を牽引しているが、日本の若者層はお金を持っていないという影響は大きい。それから、アメリカを見てみると、投資金額の大きさで市場を圧倒的に牽引しているのは確か。特に、西海岸が市場を牽引している」と述べました。

新清士氏
次のお題は、「VRは儲かりますか?」。このお題に対して回答したのは、新氏。「VRは、今は投資のフェーズ。リターンの来る時期ではない。実際、現時点で莫大な収益を上げている企業はないと思う。今は、3年後にどうなっているのかというのをにらみながら各社が動いている状況。VRの傾向は年々変わっていくと思うし、ハードの環境が整うのには時間がかかる。そういった意味でも、この3年は我慢する必要がある」と回答しました。新氏はVRが現在成長フェーズにあると見ているようです。

続いて、「モバイルVRは流行る?」というお題に。これに回答したのは、自身でもスマホVRのハコスコを展開する藤井氏。藤井氏は、「モバイルVRは熱の問題が大きい」と指摘。「熱の問題を解決しないと、現時点ではまともに遊べない状況。少し処理が大きくなると、10~20分で落ちてしまう。例えば、最新のマシンであるDaydream(GoogleのスマホVR)であっても、処理落ちしてしまう。そうなると、長時間に渡って本格的にVRの体験をするというのはできないと思う」と回答しました。モバイルVRは、まだまだ技術的な課題が大きいようです。

ファシリテーションを務めた久保田瞬氏
さらに続いてのお題は、「VRは当たり前になるか?」というもの。吉田氏は、「VRはツールとして、日常のあらゆる局面で使われるようになると私は思っています」と回答。「例えば、お店や役所に行ったときに、VRということを意識せずにVRを利用しているようになっていると思う」と述べました。吉田氏は、VRがゲームという分野に限らず、あらゆる分野で活用されることを想定しているようでした。

そして、最後は、パネルディスカッション登壇者が今後の抱負を述べることに。吉田氏は、「来年はPlayStation VRの生産数を増やす。そうすることにより、多くの方にソフトを体験できる機会を増やす。特に、『バイオハザード7』はVRでやるとやっぱり怖い。あと、私が好きなのは、『エースコンバット7』。デモをやらせてもらったが、飛行中に本当に高さを感じる。下に島とかが見えて相当盛り上がる。そういったタイトルが来年出てくるので、楽しみにしていてほしい」と述べ、本パネルディスカッションを締めくくりました。

「VR元年に何が起こったのか?」―SIE吉田修平氏、新清士氏らパネルで語る

《松木和成》

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