宇宙競争新時代の“主役”はイーロン・マスク? 爆発事故から4ヶ月で「ファルコン9」打ち上げ再開 | レスポンス(Response.jp)

宇宙競争新時代の“主役”はイーロン・マスク? 爆発事故から4ヶ月で「ファルコン9」打ち上げ再開

宇宙 企業動向

「ファルコン9」初回打ち上げの様子
「ファルコン9」初回打ち上げの様子 全 4 枚 拡大写真
イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXは、2016年9月に爆発事故を起こした再使用型ロケット「ファルコン9」の打ち上げを、今月8日に再開すると発表した。




昨年9月1日、フロリダの空軍基地でエンジン試験中に発生した爆発事故では、米Facebookが仏通信衛星企業Eutelsat Communicationsと共同開発した通信衛星「AMOS-6」も搭載されていたが、ロケットもろとも破損。アフリカなどネット環境の不十分な地域にインターネットアクセスを拡大する計画は頓挫し、損害は2億ドルに相当する、と言われている。

事故から4ヶ月間、連邦航空局(FAA)、米国空軍(USAF)、米国航空宇宙局(NASA)、国家輸送安全委員会(NTSB)がスペースXと共同で結成した調査チームが、膨大なデータを精査。「ロケットの液体酸素(LOX)タンク内にある、3つのヘリウム圧力容器(COPV)のうちの1つが故障し、炭素繊維とアルミニウムからなるCOPVの二重構造の隙間に酸素がたまり、発火や一連の故障を引き起こした可能性が高い」との結論が出た。

CRS-6 FALCON 9 IN HANGAR

原因の特定を受けスペースXは、COPVの構成や設計の修正・変更を行う短期的・長期的な措置を明らかにした。

カリフォルニアの空軍基地にて8日に予定されているファルコン9の打ち上げ再開には、衛星通信会社イリジウムの通信衛星「イリジウムNEXT」10機の打ち上げも予定されている。「イリジウム社は30億ドル相当の通信衛星をマスク氏に委ねることに懸念はない」とThe Washington Postは2日付の記事で報じた。



記事はさらに、「スペースXにとってこの爆発事故は大きな打撃であり、商業衛星打ち上げ事業に大幅な遅れをもたらした」とする。国際宇宙ステーションへの貨物飛行、そして最終的には宇宙飛行士の輸送契約を結んでいるスペースXにとって、2015年6月に引き続き、2年足らずで2度目の失敗となるこの事故は「安全かつ確実に飛行する同社の能力に疑念を抱かせるもの」だというのだ。

それでも、宇宙開発・宇宙ビジネスの舞台において、イーロン・マスク氏への期待は高まっている。

◆宇宙開発競争は国家だけでなく民間も参入…主役はイーロン・マスクなのか?


CRS-5 DRAGON IN ORBIT

英メディアExpressは2日付記事で、「宇宙競争は、億万長者が資金力を見せつける時代へ突入」と解説。

これまでは米国が、歴史的に宇宙探査のリーダーに君臨してきたが、近年、中国やロシア、欧州が宇宙計画に乗り出すなか、スペースXやオランダのマーズ・ワンなどの民間企業が続々と参入。近い将来、一般の人々が宇宙探査を利用できるようになる、と確信するAmazonオーナーのジェフ・べゾスも、航空宇宙企業ブルーオリジンにより宇宙ビジネス展開を目論んでいる。宇宙探査はもはや国家の誇りの問題ではなく、億万長者の資金力が最大の影響力を発揮するようになり、宇宙競争のシーンは激変した。

インペリアル・カレッジ・ロンドンの物理学者サイモン・フォスター博士は「次の宇宙競争は国家間だけではなく、国家と民間の億万長者の間で争われるようになるだろう」と語っている。

その言葉を示すように、中国は昨年9月に宇宙実験室「天宮2号(Tiangong-2)」の打ち上げに成功。米国とロシアに次いで、独自で宇宙に人を送る第三国として、宇宙探査への野心をあらわにする。

それでもフォスター博士は、「中国が米国を上回ることはない」とし、「NASAが宇宙探査の世界的支配力を維持する」ことを期待。そのうえで、宇宙競争の舞台にひしめく個人や国家から、次の画期的な躍進を遂げる「主役」にイーロン・マスク氏を挙げる。

FALCON 9 ORBCOMM 2 LAUNCH

相次ぐ事故や失敗にもかかわらず徹底した原因究明と対策に取り組み、迅速な打ち上げ再開にこぎつける行動力が、この期待感をさらに強化することになるか。日曜日の打ち上げの結果とその影響に注目が集まる。

《Glycine》

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