今回で9回目を迎える「オートモーティブワールド」。E35-4では旭化成/旭化成エレクトロニクスがブースを構える。いくつもの提案の中で、赤外線センサに関する提案が多くの来場者の足を止めていた。
一つはフォトダイオード型赤外線センサにCO2ガス検出用光学フィルタを組み合わせることで、車内の二酸化炭素(CO2)濃度をセンシングする提案である。ある研究結果によれば、CO2濃度が上昇すると眠くなりやすいという傾向があるという。そこに着目し、車内のCO2濃度センシングをして、ドライバーに注意を喚起するなどのアラームを発するといったことへの応用を提案する。
乗車人数によって、当然車内のCO2濃度は変化する。それをしっかり検知することで安全運転支援に役立てようという示唆である。加えて、非常に安定した性質の気体で、身近な存在であるCO2は、次世代のエアコン用冷媒としても、その可能性を秘めている。そうした際の冷媒の漏れ検知や、飲酒運転防止の分野でも活用が期待されるという。
「このセンサー自体がアルコール検知をするわけではないのですが、呼気中のアルコール検査をする際、正直アルコール濃度に呼吸法や人によってばらつきがあるのです。そのとき、しっかりと吐き出した呼気の基準として、CO2をセンシングすれば、より公平で、より正確なアルコール濃度検出が可能になると期待されるわけです」
しかしそれだけではない。もう一つは窓の曇り検知に利用することで、エアコンのより効率的な運転にも役立てる活用方法である。基本が赤外線センサであるこの技術。フロントウィンドウの温度を検知するのに活用し、加えて湿度(露点温度)を検知することで、その差分をセンシング。エアコンを最適に運転させ、余分な電気を使わないようにする。EVなどではまだまだ航続距離の課題が残る。そんな中で、エアコンによる余分な電力消費はぜひとも避けたいところだ。エアコンをいかに効率よく運転させるかというところでも、この赤外線センサを活用しようというわけである。まったく別のものを検知するが、CO2検知とベースになるセンサは基本的には共通の技術だという。
さらに別のセンシングに関する提案としては、非接触型脈波センシングの活用である。カメラで、人体に触れることなく脈拍をセンシングするというものである。「ドライバーに一切接触せずに、カメラを用いたバイタルセンシング技術です。カメラで撮った映像を解析し、脈波をある程度の期間でデータ化することで、予防医学などにも応用できないかという提案です。医用として本格的に活用するためにはまだまだハードルもありますが、近年高齢ドライバーの事故、高血圧疾病による事故も多数報告されています。日ごろからの血液循環系の健康管理のニーズが高まる昨今、比較的簡単にスタートさせられる技術です」と担当者は説明する。
かつての「できたらいいな」の実現がそれほど難しくなくなった昨今。そして、一つの要素だけでなく複合要素をセンシングすることが可能になり、安全に快適に。エコロジーでエコノミーなカーライフに、最新のセンシング技術に対して大いに期待が膨む。