【ドライブコース探訪】“イッシー”の池田湖で、冬の菜の花を楽しむ

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池田湖畔の菜の花畑。
池田湖畔の菜の花畑。 全 14 枚 拡大写真

ボルボ『V40クロスカントリー』ターボディーゼルで薩摩半島南部を正月ツーリング中、菜の花が咲き乱れる池田湖に立ち寄った。

鹿児島が位置する北緯31度近辺は気候的にとても微妙なところだ。鹿児島市は南国とはいえありふれた温帯気候そのものなのだが、錦江湾に沿って国道226号線を南下していくと、世界有数規模の石油備蓄基地のある喜入(きいれ)あたりから、如実に雰囲気が変わる。山の植生は常緑広葉樹の割合が格段に増え、太陽の光は強くなり、海の色も変わる。さらに南に行くと、ソテツが自生しはじめる。そこはすでに温帯-亜熱帯の接続域なのだ。

池田湖があるのは喜入からさらに20kmほど南下した地点。錦江湾沿いから小さな峠を越えて内陸に入ると、あちこちにチラホラと菜の花畑が目に付きはじめる。南薩エリアは、日本で一番早い時期に菜の花が咲く場所のひとつ。薩摩半島南部では毎年1月第2日曜日に、1年で最も早くに行われる公認フルマラソンとして「菜の花マラソン」が行われるのだが、その名も冬真っ盛りの頃から菜の花が咲く場所を走ることからつけられたものだ。

池田湖もその菜の花マラソンのコースになっているのだが、今年の開催日1月8日を目前に控えた1月3日、すでに湖岸の菜の花畑は満開状態で、周辺に特有の甘い匂いが立ちこめ、畑では訪れた観光客が思い思いに記念写真を撮っていた。

池田湖は昔は手軽なドライブルートとしてそこそこ高い人気を博していた。全長1m台後半というオオウナギが有名で、また未知の怪獣イッシーを目撃したという騒ぎが幾度も起きたりと、話題が豊富だったことが一因だが、今は往年の賑わいの面影はなく、すっかり廃れてしまっている。とくに2016年は熊本地震の影響で、ただでさえ減少傾向にあった客足がさらに激減してしまったそうだ。

が、観光地とは面白いモノで、廃れたら廃れたで、ひなびた魅力が出てくることがよくある。池田湖もそうであった。お土産屋さんが訪れた観光客にお土産を買ってもらおうと懸命なのは池田湖に限らずどこでも今昔変わらないのだが、池田湖のお土産屋さんは、とかくサービスが良い。ボンタン(巨大なかんきつ類)や安納芋、紅はるかの焼き芋など、南九州の特産品の試食を惜しげもなく提供してくれるのだ。

焼き芋を2種類食べさせてもらったが、これがいずれ劣らぬ美味しさ。どちらも保存に時間をかけて水分を十分に飛ばしているとみえて、濃厚きわまりない甘味だった。安納芋は半透明でほどんど繊維がなく、ねっとりとした食感。紅はるかはもう少しダイナミックな食感だ。売られているのは生芋なのだが、お値段は安納芋が2kgで1000円、紅はるかが同800円。キズ物でもないのにこの値段はなかなかお買い得である。

池田湖は鹿児島市から国道226号線と県道を経由し、のんびり走って1時間半ほどで着く。鹿児島空港からは九州自動車道と、それに接続する指宿スカイラインを通れば、ほぼ1本道で着く。近くには回転式そうめん流し発祥の地「唐船峡」もあるので、セットでおすすめだ。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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