日立金属ネオマテリアルは1月23日、高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔を開発したと発表した。
現在、電気自動車(EV)では航続距離アップのため、リチウムイオン電池の高容量化が求められており、その手段の一つとして、負極活物質に充放電容量の大きいケイ素(Si)などの合金系材料を用いる方法がある。しかし、合金系材料は従来の炭素系材料と比べ充放電時の体積変化が大きく、シワ状に変形し活物質層にクラックが入り、リチウムイオン電池の寿命が短くなる問題があった。このため、充放電時の体積変化に耐えられる高強度の集電箔が求められていた。
今回、日立金属ネオマテリアルが開発した高容量リチウムイオン電池用クラッド集電箔は、芯材を強度と圧延加工性に優れるNi-Nb合金とし、表層材に低電気抵抗のCu(銅)を用いた三層クラッド材。Ni(ニッケル)に5%程度のNb(ニオブ)を添加することで、高い引張強度を発現し、Cuとクラッドすることにより低い電気抵抗を兼ね備えることができる。また、一般的な負極集電箔に用いられる電解銅箔や圧延銅箔に比べ、高い引張強度を持ち、負極活物質に合金系材料を用いた際の体積変化に耐えられることから、リチウムイオン電池の高容量化に貢献する。
開発品は、すでに公的研究機関や電池メーカーでも良好な電池特性が得られており、2019年ごろの量産を予定している。