【ポルシェ 911ターボ カブリオレ 試乗】スポーツカー、かくあるべし…諸星陽一

試乗記 輸入車
ポルシェ 911ターボ カブリオレ
ポルシェ 911ターボ カブリオレ 全 8 枚 拡大写真

ポルシェ『911』の名のクルマが登場してからじつに半世紀以上の時間が経過。現在の911は7代目にあたる。

初代と現在の共通性はRR方式(をベースとした4WDも存在する)であること、水平対向エンジンであることくらいで、さほど大きな共通性はない。が、初代から2代目、3代目とたどっていくとその血統はまぎれもなく911のものであることが確認できる。半世紀にもわたって進化してきた911は、ほかのスポーツカー以上に長い時間を掛けて現在に至っているのだ

まず第一に乗りやすい。リヤにエンジンを搭載するのは911の伝統だが、このターボカブリオレはフロントタイヤにも駆動力を伝達する4WDモデル。普段使いではじつにイージーにドライブすることができる。しかし、ひとたびアクセルを強く踏み込めば、911らしい独特の感覚をもっての爆発的な加速を味わうことができる。

ある意味、この豹変さこそ現代の911の魅力といえる。初期の911は乗りづらい部分もあり、それを許容し、乗り越えてこそ“911乗り”であったのだが、現代の911はそこそこの速度までなら、誰でも乗れるクルマだ。

ハンドリングに関しても同様。昔の911のようにフロントタイヤのグリップが失われるような現象はなく、加速、減速、コーナリングという一連の操作を普通につなげていける。しかし、911がどこまでイケるか? と試そうとするなら、公道での試乗ではまず無理だ。日本の法定速度内では911には何も起きない。ひたすら安定した動きを示す。

だからといって、911がつまらない乗り物というわけではない。アクセル操作に対するエンジンのピックアップのよさ、ステアリングを切った瞬間のクルマの向きの変わり方。コーナリング限界の高さ、なにを取ってもスポーティで気持ちいい。自分の思ったとおりにクルマが動く。しかも試乗車はオープンエアを楽しめるカブリオレ。スポーツカーはかくあるべき…という基本がすべて詰め込まれたモデルが911ターボカブリオレだろう。

ただし価格は2502万円。地方に行けば、新築一軒家が買えてしまう金額。やはり911を楽しめるのは限られた人達ということになる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. 1回あたり300円、10分で施工できる凄技コーティング、洗車機との相性も抜群『CCウォーターゴールド』が選ばれる理由PR
  2. タイヤブランドGTラジアルよりオールシーズンタイヤ「4シーズンズ」発売
  3. マツダ、電動セダン『EZ-6』世界初公開、24年発売へ SUVコンセプトも…北京モーターショー2024
  4. 【ホンダ ヴェゼル 改良新型】開発責任者に聞いた、改良に求められた「バリュー」と「世界観」とは
  5. スバルとスカイラインにフィーチャー…第4回アリオ上尾 昭和平成オールドカー展示会
  6. アルファロメオ『ステルヴィオ』後継モデルは、大容量バッテリー搭載で航続700km実現か
  7. ディフェンダー 最強モデル「OCTA」、V8ツインターボ搭載…7月発表へ
  8. 見逃せない! ホイールのブレーキダスト除去術 ~Weeklyメンテナンス~
  9. マツダ、電動SUVをサプライズ公開、コンセプトモデル『創 ARATA』とは…北京モーターショー2023
  10. 中国製部品の急成長で2025年以降日本製の車載半導体は使われなくなる…名古屋大学 山本真義 教授[インタビュー]
ランキングをもっと見る