【三菱 アウトランダーPHEV 新型】新規グレードとEVモード追加がキーポイント

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三菱アウトランダーPHEV新型
三菱アウトランダーPHEV新型 全 24 枚 拡大写真

一部商品改良を行った三菱『アウトランダーPHEV』。そのポイントはEVモードの追加や新グレードの投入、PHEVシステムの進化などである。

アウトランダーPHEVが評価されている点について、三菱自動車広報部商品広報主任の田中直哉氏は、「室内や荷室の広さや5人乗りであること。そしてSUVならではの高い4WD性能がある。更に、モーター走行が生み出す力強さとレスポンスの良い走り。それに相まって長距離ドライブにおける疲労感の少なさが挙げられる」と話す。疲労感軽減については、「モーターのレスポンスが早いことから、自分の思い通りにクルマが動くというところにも通じている」という。

また、フロントフェイスの「“ダイナミックシールドデザイン”や、インテリアもあまり派手ではなく落ち着いた雰囲気が評価されている」と述べる。

これら強みを踏まえ、新型では「PHEVシステムの進化と新機能の追加。4WDのS-AWC性能の向上。予防安全技術、三菱e-Assistの強化。スマートフォンと連携するナビゲーションの設定が行われた」と説明した。

■ユーザーの声から生まれたEVモードの追加

PHEVシステムに関しては大きく2つのトピックがある。ひとつは駆動用バッテリーの進化だ。ハード面での変更はないものの、バッテリーパック内にリチウムイオン電池が80セル入っており、この電池のマネージメント変更が行われた。

「電池の能力は100%使うのではなく、安全性や劣化を考え出力を抑える必要がある。我々は2013年よりアウトランダーPHEVを販売しており、また、『i-MiEV』などでEV用バッテリーのデータ蓄積が出来たことから、もう少し制御を開放しても大丈夫だと判断した」と田中氏。三菱自動車商品戦略本部商品企画部マネージャーの清水明善氏によると、「約1割向上させた」とした。

その結果田中氏は、「これまで上り坂でエンジンがかかっていた同じ場所で、新型ではEVモードのみで登り切れるようになった。また、急速充電時間も、80%まで貯めるのに約30分かかっていたのが5分短縮し25分になった。最近は充電も課金制になっているので、メリットが大きい」と話した。

もうひとつは「EVプライオリティモード」の追加だ。これはEV走行を優先的に行うもので、「お客様の声から誕生した」と田中氏はいう。「これまで我々はPH“EV”といっているくらいEVについて強調しており、こういったボタンは必要ないと考えていた」と振り返る。しかし、「ユーザーからは、このクルマに乗るとエンジンをかけたくないという思いが強くなり、例えば通勤途中で一度もエンジンがかからなかったなど自慢し合うことがあると聞いた。また、早朝の外出や自然の中などでEVのみで走りたいという声もあることから設定に踏み切った」と説明した。

通常、冬場などでは暖房のためにエンジンがかかってしまうのだが、このモードを選択するとエンジンは始動しない。ただし、駆動用バッテリーの容量が少なくなった場合や、アクセルを全開にした時のみは例外だ。田中氏は、「従って冬場などではヒーターが効かないのでオプションの電気温水ヒーターなどを利用してもらいたい」と述べた。

■S-AWCと予防安全機能も向上

S-AWCについては、4WD LOCKボタンを押した際の、滑りやすい路面における旋回性能が向上した。前後独立したモーターからなるツインモーター4WDをベースにしたS-AWCは、車両のヨーモーメントをコントロールして、ドライバーのステアリング操作に合わせて、曲がりたい方向へアシストするシステムだ。

今回は、前後トルク配分マップを刷新し、ブレーキ性能の応答性を変更することで、中低速での滑りやすい路面における、LOCKモードでの旋回性能やハンドル操作に対するコントロール性を向上させた。その結果、旋回性能が向上し、ステアリング操作量の低減するため、滑りやすい路面でも安心安全に走行をサポートする。

予防安全機能については、これまでもACCとFCM(衝突被害軽減ブレーキ)は装備されていたが、今回はこのFCMに歩行者検知機能が追加された。またBSW/LCA(後側方車両検知警報システム)にレーンチェンジアシストも追加。更に電動パーキングブレーキも装備された。

■上級グレード追加で価格にあった質感目指す

「2017年モデルの最大の訴求ポイントは、Sエディションを追加したことだ」と田中氏。その投入理由について清水氏は、「アウトランダーPHEVユーザーの中には、所有する満足感や走りの質感に拘りを求める方もいる。そういった要望に答えるため」という。

そこで、「少しでもそういった“プレミアムブランド”に近づいて選択肢のひとつとして考えてもらえるようなクルマにしたいと思い、ビルシュタイン製ショックアブソーバーを装着したSエディションを導入した」と説明。

このビルシュタインショックアブソーバーを効果的に活用するために、Sエディションのみボディ剛性が高められた。「ボディ自体がゆるければ、いくらサスペンションが良くても効果がないので、変形しやすいところに構造用接着剤を用い剛性を高めている。この構造用接着剤は、過去『パジェロ』や『ランサーエボリューション』でも使用していた」と話す。

具体的には、テールゲート開口部周りやサスペンションの取り付け部周辺に塗布される。塗布する長さはおよそ4mにもなるという。

そのほかオプションでルーフカラーにブラックを選択出来る。「以前、ランサーエボリューションなどでも採用していたが、黒くすることによって低重心に見える効果を狙った。アルミホイールのカラーも以前ランサーエボリューションで使っていたカラーで、フロントグリルにも同じカラーを採用している」と清水氏はいう。

内装でも、専用のスポーツシートを採用したほか、スポーティに見せるために赤のステッチを選択。ペダルはアルミペダルを装備した。また、センターコンソールやドアパネルなどのオーナメントパネルを専用柄にしたほか、天井は、ノーマルは黒っぽいベージュに対し、黒にすることでスポーティに仕上げ、商品強化が図られている。

清水氏によると、アウトランダー全体でSエディションが占める割合は「5%程度だ」と予測している。

また、アウトランダーPHEVのユーザー層は、「40代から50代の男性が中心で、まれに30代もいる。他メーカーのSUVや、ハイブリッド車からの乗り換えも見られる」とコメント。そして、「PHEV特有のユーザーとしては、新しいものが好きで常にアンテナを張っている人が多いようだ」とその特徴を語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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