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【ドライブコース探訪】鹿児島で「淡雪」を狩る

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2013年に登録された新種「淡雪」。今はあちこちで栽培されているが、ここ志布志が生まれ故郷だ。
2013年に登録された新種「淡雪」。今はあちこちで栽培されているが、ここ志布志が生まれ故郷だ。 全 11 枚 拡大写真
いちごといえば真っ赤な色合いというイメージがあるが、近年「淡雪」という薄ピンク色の新種がデビュー、高級いちごとして一気に知名度を上げた。さがほのかから突然変異で生まれたという淡雪の故郷は、鹿児島県の大隅半島北部、宮崎県境近くに位置する志布志(しぶし)である。

その志布志の松山町というところに、淡雪生産者のひとつである農業法人「農Life」があり、そこでいちご狩りができるというので行ってみた。

志布志は鹿児島県だが、鹿児島市からは意外に遠い。鹿児島中央駅を起点とする場合、桜島フェリーで海を渡ってから桜島をぐるりとまわり、牛根という集落からワインディングロードを経由するルートで約80km。もしくは鹿児島インターチェンジから九州自動車道、東九州自動車道を経由するルートで90kmあまり。

それに対して宮崎県北方の都城方面からは一般道経由で30分少々、宮崎市からも高速と一般道を併用して70km少々と、鹿児島市よりかなり近い。この一帯は明治維新直後、数年ではあるが都城県に属したこともある。それも道理だなと感じられる土地柄である。

農Lifeのいちご狩りのシステムだが、基本的に100グラム=250円の量り売り。作付けされているのは「紅ほっぺ」「さつまおとめ」「さがほのか」「淡雪」の4品種だが、すべて均一料金だ。また、収穫されたいちごをベースに作られたアイスクリームとシャーベットもある。

まず、いちご狩りをやってみた。一番人気は淡雪だが、せっかく4品種あるのだからと、全種食べ比べてみた。淡雪は甘味豊かながらしつこくなく、ほんわりとした風味。へたの部分まで真っ赤な紅ほっぺは強い甘味と酸味が入り交じった重厚感のある味。さがほのかは口元に近づけただけで甘い香りが鼻をくすぐる。さつまおとめは強い甘味でとろけるよう。

高級いちごといえばとかく糖度が重視されがちだが、単に甘いだけでは大量に食べても満足感が得られない。農Lifeのいちごは甘味、酸味、香りのバランスが良く、さらに野菜的な風味も加味され、実に食べ応えのあるものだった。

次にいちごプレミアムアイスを食べてみた。これは生食には見栄えが悪いような果実を利用して作ったものだそうだが、いちご成分の濃密さが素晴らしく、大量生産の果実アイスでは到底出せないような良い味であった。農Lifeの産品は今日、ふるさと納税の返礼品に選定されているという。それも納得の美味しさだった。

農Lifeができたのは2014年。特徴は、安心して食べられる果物づくりを目指し、減農薬に意欲的に取り組んでいること。害虫に対して天敵をビニールハウス内に放つバイオ農薬を積極活用したり、夏に直射日光を利用して地中の有益微生物を生かしたまま病原菌や害虫は駆除されるような温度に保ったりといった工夫により、農薬の使用量を僅少に抑制している。

農Life設立前からこの地に移り住んでいちごを作付けしてきた運営者のひとり、立山勝規氏は、大学では数学専攻。生物についてはおよそ門外漢であったという。その立山氏がサラリーマンを辞めて営農を志したのは、この志布志の地でチャンスを見つけたからだ。

「地方の過疎地はどこも同じような悩みを抱えていると思いますが、ここでも農家は後継者難に頭を悩ませていた。そこで、ここで農業を継承してくれる人がいるのなら、他人であってもノウハウを教えるという農家が出てきていたんですね。また、自治体も低廉な金利での融資プログラムを用意していた。そこで私は1年間、ある農家のもとでやり方をみっちり学びました。それから自分で農業をやってみて、実際に事業がうまく回るようになるにつれて、今度は自分なりに減農薬をいろいろと試してみた。上手く行くこともあれば失敗もある。そうやって、ようやく現在の減農薬農法にたどりついたのです。今の時代、農の世界で生きていきたいという決意さえあれば、以前に比べてチャンスは広がっていると思います」(立山氏)

農Lifeではいちごのほか、地野菜の栽培なども行っている。また、休日にはいろいろなイベントも行われている。今はまさにいちごの旬で、甘味、風味は最高だろう。また、品種は次第に限られてくるが、ゴールデンウィークのさらに先まで、いちごシーズンは結構長い。4月頃には100グラム=200円へと割り引かれるので、ゴールデンウィーク頃も結構狙い目だ。

大隅は整備された観光地は数少ないが、本土最南端の佐多岬や太平洋側の岸良海岸など、ネイチャービューの観点ではとても魅力的な場所。その大隅ツーリングの折には、農Lifeに立ち寄っていちご狩りを楽しんでみるのも一興だろう。

《井元康一郎》

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