52席限定、3部構成の西武劇…2年目の春 | レスポンス(Response.jp)

52席限定、3部構成の西武劇…2年目の春

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西武 旅するレストラン「52席の至福」
西武 旅するレストラン「52席の至福」 全 4 枚 拡大写真
大きな窓にダイニングテーブル、ちょっと歩くと清潔なキッチン、バーカウンター、ロビーを想わせる空間。これが山岳路線を行く西武4000系とは…。2年目を迎えようとする「西武 旅するレストラン『52席の至福』」のメディア向け試乗会での最初の印象だ。

西武新宿発 西武秩父行きの「52席」は、通常ダイヤに歩調をあわせて新宿線をゆっくりと行く。テーブル上のカトラリーやブランチメニューに目を通す。車窓には、地下化工事がすすむ新井薬師前駅や沼袋駅、新宿線系統の車両が休む上石神井車両基地が映る。

揺れやクラクション、床下からのモーターの響き、ゴツゴツと分岐器を渡る足音は、4000系そのもの。踏切が多い新宿線では、こまめにクラクションを鳴らし、「できるかぎり加減速を感じないように、定速で走る」という。

注文した「COEDOビール」をウェイトレスが運んできたころ、あらためてメニューに目をやる。

◆新宿線、いつもの車窓をレストラン空間で乾杯

アミューズ…ヴィテッロトンナート 深谷牛のローストビーフ ツナソース、前菜…トリュフの薫りをまとった玉ねぎのオーブン焼き、パスタ…サツマイモラヴィオリ セージパスタソース、メイン…骨付き豚肉のトロトロ煮込みレンズ豆添え、デザートにケーキ。

東京・代々木「Otsu」の宮根正人オーナーシェフが監修したテーブルプログラムが始まるころ、車内に男性のアナウンス。「電車は武蔵関付近を走行中です。このあたりは石神井川沿いの桜が西武線沿線で有数の観光スポットです。お花見シーズンになると、多くの人々でにぎわいます」。


「52席」試乗列車は東伏見で運転停車。非日常の車内から、日常の黄色い電車に手を振る。運転停車中は、空調の音とカトラリーの金属音だけが聞こえてきて、あらためて「旅するレストラン」を実感する。


◆池袋線、40000系S-TRAINや特急10000系NRAに手を振って

2年目を迎えた52席には、どんな人たちが座るか。「子育てを終え、人生の後半を楽しもうという50~60代が多い。リピーターも増えている。若い2人組は、どちらかが電車好きという感じ。結婚記念日や誕生日、喜寿といった記念日に乗る人も多い。子から親へ『いつもありがとう』という気持ちを込めてプレゼントする姿もみられる」とウェイトレスは教えてくれた。

「シアワセな52席」は、東村山でいったんとまり、ゆっくりと所沢に入っていく。西武の拠点駅は昼夜を問わずにぎやか。突然現れたレストラン電車を、スマホでカシャッと撮る人たちの姿も。


52席の至福、第2部は所沢から。線形上、このレストラン電車は所沢でこれまでの進行方向と逆を向き、西武池袋線へと入る。小手指車両基地で休む西武の座席転換車40000系「S-TRAIN」が右手車窓に映り、入間基地を離着陸する機体を見て、ビールやワインにパスタと口にする。

仏子で西武秩父行き特急ニューレッドアロー10000系を先に行かせる。単線の八高線を頭上に見て、軽くブレーキがかかると、飯能。


◆秩父線、高麗川の渓谷美と無骨な武甲山 駅前ウォーキングも

飯能で再び進行方向を逆転させる。電車は左へ大きくカーブして、東飯能を通過すると、20パーミルを超える坂道が続く山岳路線の雰囲気に変わる。右手車窓に武州街道(国道299号)が近づいてくるころ、メインの骨付き豚肉のトロトロ煮込みレンズ豆添えを。

この52席と同じ4000系一般編成などがいる武蔵丘車両基地を見て、イチローズモルトにいくか、秩父ルージュの赤ワインにいくか悩む。

右へ左へと車体を傾かせて、急カーブと急坂が連続する区間を、モーターを唸らせて52席は走る。荒川水系の高麗川の渓谷美を見下ろし、武州街道を行くドライバーや登山客に手を振りながら、吾野、正丸とすすむ。

デザートタイムにグラスを持ってバーカウンターへ。杉林の間を抜けていく車窓と、ウェイトレスとひと言ふた言。立ちながら自由に過ごせるカウンターは、テーブル席とはまた違う居心地。


5km弱の正丸トンネルを抜けると、横瀬町。「業務連絡、ドアモード、半自動ドアになりました」。これまで外の空気に触れずにきたが、52席には芦ヶ久保で下車できる時間がある。ホームへ降りると、都心より気温が2度は低いんじゃないかと思うほどひんやり。峠越えしたことを肌で感じる。

道の駅 芦ヶ久保で「秩父特産 しゃくしな漬」を買い込み、再び電車へ。段々に削られた武甲山を左手に見て、右へカーブして坂を下ると、西武秩父。大規模改良がすすむ駅舎を抜けると、4月24日にオープンする「西武秩父駅前温泉 祭の湯」の準備が見えた。


西武 旅するレストラン「52席の至福」は、このブランチコース(1万円)のほか、ディナーコース(1万5000円)もある。ともに、料金には帰りの電車に使える西武線1日フリーきっぷがつく。土休日を中心に年間約100日運行。予約は2~4人で受け付け。

《大野雅人》

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