3月26日といえば、北海道新幹線が開業してから1周年。沿線各所では賑々しくイベントが開催されるようだが、もうひとつ1周年を迎えるところがある。新幹線開業と同じ日に正式オーブンした北海道名寄市弥生の旅人宿&田舎食堂「天塩弥生駅」だ。
「天塩弥生駅」は、1995年に廃止となった旧JR北海道深名線天塩弥生駅跡に建設された「木造駅舎」。廃駅跡に建った「駅」として大きな話題となり、オープン以来、連日、テレビや新聞等を賑わせた。食堂を兼ねたエントランスには、鉄道にまつわる本物の部品が所狭しと飾られ、日中は食堂、夜は旅の宿として、北海道内はもちろん、本州でも根強い人気を得ている。
「天塩弥生駅」の首席助役こと、富岡達彦さんによると、この1年間の宿泊者数はおよそ450人、食堂利用者数はおよそ2000人だったという。「深名線廃止から22年、時間の狭間に埋もれ行くその歴史に、もう一度スポットライトを当てることができた1年であったと思います」と富岡さん。列車の来ない駅が人々を集わせる有機的な空間となり、深名線の思い出を語る場として、再び時計の針が動き出したように感じているそうだ。
筆者は昨年6月に「天塩弥生駅」を紹介しているが、この時は食堂利用だけの日帰りだった。その後、12月31日に年越しを兼ねて宿泊しているが、豪華なおせち料理やお酒に囲まれ、久し振りに年越しらしい雰囲気を味わうことができた。残念ながら元旦は、氷点下20度を下回ることも珍しくない周辺にもかかわらず、気温はマイナスひと桁で、期待していた「しばれ体験」はお預けとなってしまったが、「何もないようで何かある」という雰囲気を大いに味わい満足できた。
そんな「天塩弥生駅」では、オープン1周年を迎える3月25・26日に開業1周年記念フェスタを開催する。3月25日は、14時から18時まで駅舎を開放し記念品などを配布。その後の18時から0時まではお夕食(18時~)、祝賀会(20時~)、大ビンゴ大会(21時~)を開催する。翌26日は10時から12時まで記念式典が開催され、「天塩弥生駅」主催の道内木造駅舎写真コンテストの入賞者発表などが行なわれる。お夕食の参加には予約が必要で、祝賀会での飲食物は持ち込みとなる。祝賀会と大ビンゴ大会は予約不要だが、「人数を把握するため、連絡があると幸いです」ということだ。
2年目に向けて「リピーターも増えて、ますますにぎやかになるものと確信しています」ということで、宿泊者数の目標を700人程度に置いているという富岡さん。地元にゆかりのある人々、かつての天塩弥生駅に勤務していた人々、国鉄OBや鉄道マニアの人々、地域の人々が集う場として、ますます発展していくことを願っているそうだ。