【トヨタ ランドクルーザー250】クロカン3点セット、悪路での走破性と運転支援

トヨタ・ランドクルーザー250
トヨタ・ランドクルーザー250全 15 枚

トヨタ自動車が8月2日にプロトタイプ(量産試作車)を公開したクロスカントリー4×4『ランドクルーザー250』。要求のうちとりわけ大切なのはもちろん耐久性、信頼性、走破性のクロカン3点セットだ。それらを満たすために悪路走破性と悪路における運転支援には特段の留意が払われている。

トヨタ・ランドクルーザー250トヨタ・ランドクルーザー250

◆シャシー機能は「300」と多くを共有

シャシーは上位モデルの「ランドクルーザー300」と同じ軽量ラダーフレームの「GA-L」。前ダブルウィッシュボーン+コイル、後4リンクリジッド+コイルというサスペンション形式も同じだ。同じクロスカントリーでも250と同日に公開された「ランドクルーザー70」が前後リジッドアクスル+リーフスプリンというタフネス一辺倒の形式であるのとは異なり、いっぱしのラグジュアリークロカンである。

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そのシャシーだが、電子制御システムや監視システムの多くを300と共有している。その最たるものはショックアブソーバーの減衰力を路面状況に合わせて4輪独立で制御する「AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)」。

「『プラド』も4輪独立可変ショックアブソーバーを装備していましたが、減衰力は4段階切り替えでした。250は300と同じく無段階調整が可能なリニアソレノイドショックアブソーバーとしました。しっかりタイヤが設置しているサスペンションは減衰力を高く保持しつつ、浮いているタイヤのサスペンションの減衰力を下げてタイヤが接地したときに的確にグリップさせてやるというものです。4WD LOWのモードでのモーグル(凹凸路面)制御がしっかりできるようになったのも特徴です」(MSプラットフォーム設計部・福森大輔氏)

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◆オフロード走行支援情報はセンターディスプレイに集中表示

走行モードも300と同じく6種類。4WD HIGHと4WD LOWに共通しているのは「AUTO(全自動)」「SAND(砂地)」「MUD(泥濘時)」。4WD HIGH特有のモードは「DIRT(未舗装)」と「DEEP SNOW(深雪)」、4WD LOW特有のものは「ROCK(岩場)」。日本ではクロスカントリーを楽しむためのクローズドトレイルコースを除けば大半はAUTO、まれにDEEP SNOWを使う程度であろう。

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オフロード走行のインフォメーションシステムも基本的に300譲り。オフロード走行支援情報は傾斜計、駆動力配分表示、車体周辺の様子などがセンターディスプレイに集中表示される。プラドのようにあちこちに分散した計器や画面を見回す必要がなくなったぶん、オフロードのイージードライブ性は大きく向上していることだろう。

◆なぜか今までなかったバックアンダーフロアビュー

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300にはない250独自の装備は、車体後方のホイールまわりや床下を映すバックアンダーフロアビュー。オフロード、とくに浮き岩の多いガレ場では前進できなくなった時に後退して車体を振ることによって脱出を図ることが多い。そのときにクルマを降りて床下やホイールまわりを目視せずとも運転席で状況を簡単に把握できるというのは便利だ。

「技術的にはとくに目新しいものではありませんが、あったらいいなと思われていたのになぜか今までなかった装備。純粋に顧客ニーズから生まれたオプションです」(MS制御開発部・山下寛明氏)

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300にあって250にないものは、自動車高調整機構「AHC」や前後アクスルのスタビライザーを自動的にロック/解放できる「E-KDSS」など。ただしスタビライザーについては、前アクスルのものを手動でロック、開放できる「SDM」というシステムを装備可能だ。急峻な場所での車体の水平の保たれ具合は300に譲るであろうが、悪路走破性自体は前輪がグリップポイントにかかりさえすれば確保できる。コストとのバランスを考えるとクレバーな仕様策定と言える。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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