従来の都市型MaaSとはひと味違う、京急「COCOON」【MaaSがもたらす都市変革】

京浜急行電鉄快特三崎口行きの車両
京浜急行電鉄快特三崎口行きの車両全 6 枚

この連載では首都圏の交通事業者が主体となって展開するMaaSの実例を、いくつか紹介してきた。今回は、これまで取り上げなかったものの、最近積極的に展開を広げている京浜急行電鉄(京急)の動きを紹介していく。

三浦半島地域からスタート

京急とMaaSの関わりは、以前この連載で紹介した、全日本空輸(ANA)が2019年に社内の新サービス提案事業を発展させる形で立ち上げた「ユニバーサルMaaS」に始まる。

ユニバーサルMaaSについては、そのときの記事を参照していただきたいが、京急は創設メンバーのひとつであり、実証実験にも参加してきた。

その京急が独自にMaaSを立ち上げると発表したのは翌年10月。沿線である三浦半島地域の観光事業者/自治体/サポート企業などと「COCOON(コクーン、当初の表記はCocoon)ファミリー」を結成するとともに、観光型MaaS「三浦COCOON」のサービスを開始すると発表したのだ。

三崎口駅

2021年6~7月には実証実験を実施。実証専用のiOS対応スマートフォン向けアプリ「みうらよこすかMaaS」の中で、「デジタルみさきまぐろきっぷ」を販売した。従来から磁気きっぷとして販売してきたもののデジタル版で、鉄道バスの乗車券と飲食店、観光施設のチケットが含まれている。さらに8月からは三浦COCOONファミリーで、「COCOONモビリティパッケージ」の展開を始めた。これまで個別に展開してきたカーシェアやレンタサイクルなどを法人向けにパッケージ化し、遊休の土地や店舗スペースで拠点を運営してもらうべく提案を行っていくというものだ。

三崎口駅の超小型モビリティ

現在三浦COCOONでは、デジタルみさきまぐろきっぷのようなチケットのほか、モビリティでは超小型モビリティ、電動キックボード、自転車のレンタルや、トゥクトゥク、オープントップバス、水中観光船の利用などが可能となっている。

大田区、横浜など沿線各地で展開

続いて2022年8月には、情報サイト第2弾となる東京都大田区の「おおたCOCOON」、10月には第3弾として「横浜COCOON」を開始した。

おおたCOCOONでは、平和島駅に隣接して交流拠点「COCOONひろば平和島」を開設。フードトラックが定期的に出店するほか、ひと棟まるごと貸し切り可能なタイニーハウス(小さな家)も用意されている。

横浜COCOONは京急や横浜市などが従来からまちづくりに取り組む日ノ出町~黄金町駅の高架下が中心。「黄金町ロックカク」と呼ばれるスペースをレンタルしたり、「黄金町エリアマネジメントセンター」で開催されているバザールやギャラリーに参加したりできる。

黄金町エリアマネジメントセンターと自転車シェア

《森口将之》

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