「検察は自己中心的」と裁判長が激怒

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駐車場からバックして県道に出ようとしたトラックが、進行してきた別のトラックと衝突して運転手を死亡させたことで、業務上過失致死罪に問われていた55歳の男性に対し、福岡地裁は22日、事故は予見できなかったとして無罪を言い渡した。

問題の事故は2001年5月に発生している。福岡県篠栗町内で県道に面した駐車場からバックで出ようとしていたトラックに対し、県道を進行してきたトラックが追突した。

追突した方の運転手は全身を強く打って死亡したため、バックで進行していたトラックの運転手の男性が業務上過失致死容疑で検挙され、後に在宅起訴された。

しかし、公判でこの男性は「トラックはすでに県道に出ており、発進しようとした矢先に後ろから突っ込まれた」と一貫して主張。事故の原因は後方確認を怠ってバックを行った自分ではなく、すでに県道上に位置していたトラックを見落とした被害者側に責任があるとした。

これを示す証拠として、道路上に残されていたタイヤ痕を弁護側は提出しているが、検察側の主張するようにバックを行っていた状態であれば斜めに残るはずのタイヤ痕は、現場では後続車に押し出されたかのように真っ直ぐ残されていた。

これは重要な物証となりうるものだったが、検察側は「以前から現場にあったもの」とこれを一蹴。論告求刑公判では禁固1年6カ月を求めた。

しかし、22日の判決公判で福岡地裁の陶山博生裁判長は弁護側の提出した鑑定結果を採用。「事故当時、トラックはすでに県道上にあり、発進する直前だった」と認定した。

その上で「後続車が停車していた車両に気づかないまま突っ込んでくるという事態は予見できるものではなく、安全を確認する義務も無かった」として、男性に対して無罪の判決を言い渡した。

また、裁判長は検察側に対して「トラックが停止していたことを裏付ける証拠があるにも関わらず、理論的な反論を行わないまま一蹴した判断は牽強付会も甚だしい」と、異例の注意を行っている。

《石田真一》

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