ハンドリングは、わかりやすくいえば同じプラットフォームを持つVW『ゴルフ』よりは確実にスポーティで上質感が漂う。この辺りはアウディのキャラクターを明確にしたところ。また身内である3ドアの『A3』に対しては、落ち着きや洗練といった言葉が似合う乗り味を持っている。3ドアA3の持つスポーツ性をそぎ落とすことなく、上質さや洗練を感じさせる乗り味を得た、といったところだ。
もちろんダイナミクスのレベルは高い。高速道路などでは高いコンフォート性能を発揮しつつ、アウディらしいスポーティな反応を感じさせ、ワインディングでは絶大なるスタビリティで鋭い身のこなしをみせる。だから走りだけでいうと、5ドアハッチというよりもスポーティさを持ったラグジュアリークーペ的な感覚さえ見受けられるのだ。
試乗を終え、財務担当役員のルパート・スタドラー氏と話すことができた。氏いわく、「今後のアウディの経営は明確。2年後には確信があるし、5年後もかなり正確な数字を把握しているつもり」という。同時にブランドに関しては「アウディであり続けることが重要。今後はプレミアムブランドとして100万台規模の生産を目指す」とのことだ。
その意味でも、A3スポーツバックのような「これまでにない」モデルの投入は意義があるようで、今後も「魅力的なモデルをどんどん投入していく」と語っていた。まさにこれからのアウディは、「ほかとは違う道(ブランド)」をより明確にし、競争著しい欧米日の自動車マーケットでの生き残りを図っていこうとしているのである。