トヨタを押さえて3位に浮上
JDパワー・アンド・アソシエイツが8日発表した2006年の米国新車初期品質調査によると、ブランド別では昨年まで11年連続でトップを保持していたトヨタ自動車の「レクサス」が僅差で「ポルシェ」に首位を譲った。それよりも日本メーカーにショックだったのは、ポルシェ、レクサスについでの3位に韓国の「ヒュンダイ」(現代自動車)が浮上したことだろう。
現代は昨年の調査でホンダ(12位)を抜いて10位に上昇、大衆ブランドではトヨタ(7位)に次ぐポジションに躍進していた。今年は4位だったトヨタを押さえて大衆ブランドのトップに立った。
JDパワーの初期品質調査は今年から、調査方法を抜本的に改めている。ユーザーから不具合項目を指摘してもらうのは従来どおりだが、不具合の内容を「製造」に起因するものと「設計」によるものに大別、調査項目数も昨年までの135から217に拡大した。
◆調査方法変更で大衆ブランドも上位に
昨年までは「動かない」「壊れる」といった製造上の不具合を中心に調査していたが、「使いにくい」といった設計上の問題も不具合としてカウントするようにした。このため、昨年は上位のほとんどが製造品質の高い高級車ブランドで占められていたものの、今年はベストテンにヒュンダイ、トヨタ、ホンダ(6位)の大衆3ブランドが入った。
そうした事情があるにせよ、現代自への品質評価の高さは厳然とした結果だ。かねて現代自を世界市場での「手ごわい相手」と評価してきたトヨタの渡辺捷昭社長も、「負けは負け」と率直に受け止めている。「品質」を今年度の重要課題としているだけに、早速、JDパワーの調査結果についても詳細な報告を受けたという。
◆謙虚さが巻き返しの出発点
現代自は首脳の逮捕によって経営体制が揺らいでいるものの、いまや北米だけでなく欧州、中国といったあらゆる市場で日本車の強烈なライバルとしてパフォーマンスを発揮している。
クルマの評価は、初期品質だけでなく経年での品質も加わって定まる。顧客満足度なども含めた「総合力」での日本車優位は変わらないとしても、まずは謙虚に「負け」を認めるところから始めないと、日本車の巻き返しもない。