仏大統領選に当選したニコラ・サルコジ氏が、友人の実業家が所有する豪華クルーザー船を借りてバカンスを楽しみ、物議を醸したのは既知のとおりだ。
その実業家とはヴァンサン・ボロレ氏。彼が社主を務めるボロレ社は1822年に製紙業からスタートし、今日では包装用プラスチックフィルム製造業や海運業などで一大企業グループを形成している。
そのボロレ社、実は自動車業界にも果敢にアプローチを試みている。2005年のジュネーブモーターショーで公開し、今年3月の同ショーにも出品した電気自動車『ブルーカー』(Blue Car)である。
バッテリーはグループ企業『バスカップ』で開発したリチウムメタルポリマー電池で、6時間フル充電・連続走行距離200kmを謳う。最高速度は125km/hに達する。ボディサイズは3050×1710×1610mmで、3+2座というユニークなシート配置をもつ。
このデザインは、ピニンファリーナのフランス法人である『D3』とボロレ・グループの共同作業によるものである。さらにエンジニアリングも、2003年にピニンファリーナがマトラから自動車部門を買収して誕生した『マトラ・オートモビル・エンジニアリング』の協力を得ている。
ボロレはブルーカーを専ら電池事業のシンボルとして活用する考えで、将来自動車産業に進出する意図は持っていない。
しかしフランスでは、最大3050ユーロ(約50万円)の補助金制度のほか、保険料も20%安くなるなど、電気自動車に対する優遇措置がある。
ここはひとつサルコジ新大統領は、ボロレ氏から今度はこの可愛い電気自動車を拝借して、“エコ大統領”になるのがイメージ挽回の早道だろう。