【トヨタ iQ プロト試乗】起きて半畳、寝て一畳...木村好宏

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【トヨタ iQ プロト試乗】起きて半畳、寝て一畳...木村好宏
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日本には「起きて半畳、寝て一畳」という諺がある。つまり生活するにはこれだけの広さで十分だと言う意味である。トヨタはこの『iQ』でそれを実証しようとしている。

全長3m以下、幅1.5mならば畳3枚近く、ここへ大人4人を乗せるのは考え方によっては十分な広さと言えよう。もっともクルマにはエンジンやエアコンなどの補機類があるので、現実にはこの広さを全部乗員には回せない。それでもトヨタはエアコンを小さくするなどして大人4人のスペースを作った。

まあ、確かに4人座れるがやはりリアのパッセンジャーはガマンが要求される。しかしふつうのクルマでも4人も乗ることは滅多にないので、ここで問題なのは4人乗ることができるという事実なのである。

またインテリアも安っぽさをなくそうと努力しているのは分かるが表面の仕上げはともかく、ダッシュボードを叩くとボコボコと中身が空洞のような音がするがこれはいただけない。特に欧州向けは再考すべきだ。

さて、動力性能はといえば1.0リットルのCVT付きはまあ何とか軽自動車に匹敵するかなという程度で、街乗りには問題ないだろう。ただしこの仕様は欧州ではやや物足らない最低130km/h巡航が要求されるからだ。

だから1.4リットル・ディーゼル搭載車が大いに期待されるところだ。というのは試乗したiQのプロトタイプのEPS(電動パワーステアリング)は剛性感とインフォメーション伝達に優れ同時にゲインも非常にしっかりとしている。

これならば少々重いディーゼルを乗せてアウトバーンを飛ばしても安全で面白いに違いない。マイクロ・ミニでも欧州では走りをおろそかにしたら売れないのだ。

ところで日本での可能性だが、せっかくの良いコンセプトでも軽自動車のインセンティブ(特典)に阻まれて果たしてどれだけ売れるかは分からない。この現代では本当に理不尽な軽自動車への優遇を何とかしないと日本車のダウンサイジングに対して健全な発達は大いに阻害される。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:
★★★★(前席)
★★(後席)
パワーソース:★★★(環境対策パワープラントが急がれる)
フットワーク:
★★★(ガソリン)
★★★★★(ディーゼル)
オススメ度:
★★★(軽自動車特典のある日本では)
★★★★(欧州で)

木村好宏│モータリングライター
トーマス・マンとドイツの自動車に憧れ1968年に渡独、日本には絶対にない論理的なドイツの社会構造と文化に接し開眼、この地に留まる。まずは国営航空会社に勤務、並行してドイツ自動車専門誌『アウト・モーター・ウント・シュポルト』に寄稿を開始、後に日本の媒体へも進出。後にモータリングライターとして独立ドイツおよび日本に事務所を構え日独の自動車技術、文化などを両国へ配信する。現在、後継者を募集中。

《木村好宏》

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