プジョー『407』、シトロエン『C6』と同じプラットフォームを使用しているとのことだが、その印象は三車三様。まるで違う生き物だ。そう、まるで生き物のようにサスペンションが動く。
ダンパーやコイルスプリングを使わずに、スフィアと呼ばれるガスとオイルを圧入したタンクをECUでコントロールしてサスペンションを動かす。直進状態ではどこまでも柔らかく路面の凸凹を拾いボディをフラットに保ち、コーナーリング速度に比例して腰のある硬さに変化する。旋回中も凸凹を吸収し、ピッチングは微小。
スポーツモードにすると、最初はノーマル時と何も変わらないソフトな乗り味だが、運転手の技量を学習して次第に変化しボクのハード走行にも見事に応えた。FFのくせに操舵量が小さく、修整舵も少ない。また、なんでもないと思っていたシートのホールド性も高い。
室内の静粛性は、ドイツ車やトヨタ車のような密閉感による効果ではない。必要な外の音をきちんと伝えながら、雑音をカットしている。だから、閉塞感を覚えない。他のどのクルマにもない個性を持った大変印象に残る1台だった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
スローエイジングという独自の健康法で53歳の現役レーシングドライバー! スーパーGTをランボルギーニ・ガイヤルドで戦っている。INDY500など海外レース経験も豊富で、確かな知識と国際感覚でクルマの評価を行う。2008-2009日本カーオブザイヤー選考委員。