シトロエン『C5』は先に写真で見たときにも、いいデザインだと思っていたが、実車はもっとスタイリッシュ。とくにランプ類やボディサイド面の凝った造形が印象的。それも『C6』ほどブッ飛んでいなくて、誰でも気兼ねなく乗れる雰囲気がある。
逆に、超個性的なC6の影に隠れた存在になるのではと危惧していたが、そんなこともなく、個性と普遍性が上手くバランスしている。また、視界や取り回し性、居住空間やユーティリティの設定など、デザインが特徴的なだけでなく、実用面でもけっこう理詰めでつくられていると思えた。
ドライブフィールは、C6のような浮遊感とはまた違った、ソフトな中に引き締まった感覚のある乗り心地に好印象。静粛性も極めて高く、快適性はピカイチだ。軽さの中に芯のあるステアリングは、スポーツカーのように機敏に反応し、深く切り込んでもタイヤがどこまでもついてくる感覚。意外なほどスポーティな味付けだと感じた。
C5は、シトロエンマニアだけではなく、たとえばドイツ車を乗り継いできたような人にも受け入れられるクルマ。従来とは違う層のお客さんも呼んでこられるクルマだと思う。それでいて、シトロエン車らしい味もちゃんと持っている、すべてが絶妙なバランス感。また、意外と控えめな価格設定にも好感が持てる。