【アウディ A4 試乗】理系エグゼクティブに…神尾寿

試乗記 国産車
【アウディ A4 試乗】理系エグゼクティブに…神尾寿
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Dセグメントのプレミアムカーというと、BMW『3シリーズ』やメルセデスベンツ『Cクラス』など強力なライバルがひしめいている。その中で新たなアウディ A4は、先進技術を惜しみなく使い、クリーンで未来志向のプレミアムカーを目指している。

私が特に評価したいのは、スタンダードグレードの「1.8 T-FSI」における「低燃費へのこだわり」だ。ともすると、このクラスでは、パワーやスポーティさが優先されて、燃費性能へのこだわりが後回しにされがち。しかし、A4の1.8 T-FSIは排気量を抑えめにしながら、最新の「直噴+ターボ技術」と「CVT」を用いて、このクラスに必要十分な動力性能を確保。グループのフォルクスワーゲンが「TSI」で目指したのと同じく、エコ技術としてターボを使うアプローチで、実質的なダウンサイジングを実現している。

クルマだけでなくエレクトロニクスの世界でも、「消費エネルギーを抑えて、高いパフォーマンスを得る」ことが知的とされるのが、21世紀のトレンドだ。こうした時代背景に、A4 1.8T-FSIの姿勢はとても合っていると思う。

もうひとつ、A4で好印象だったのが、オプションの「アウディドライブセレクト」だ。これはECUを通じて、サスペンションの減衰力やステアリングレシオ、アクセルレスポンスなどを統合的に“ソフトウェア制御”するもので、状況に応じてクルマ側の挙動を変更できる。

実際に試すと、この効果が絶大で、「コンフォート」では全体的に“しっとり”とした動きになり、「ダイナミック」ならば“パリッ”としたクイックな挙動に豹変する。また、ユーザーが各種パラメーターを細かく設定できる「インディビジュアル」というモードも用意されており、このカスタマイズがかなり楽しい。

クルマの電子制御領域は急速に拡大しているが、ソフトウェア制御のうち一定の領域をユーザーのコントロール範囲とし、カスタマイズ機能を用意するというのは、今後の可能性が大きい“新しいクルマの楽しみ方”だと思う。

もともとアウディは技術志向が高く、クリーンで知的なブランドイメージを構築してきた。今回のアウディ A4もその期待に背かず、合理的で知的なクルマに仕上がっている。理系エグゼクティブやホワイトカラーが、さらりと乗るととても似合うクルマだと思う。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

神尾寿│通信・ITSジャーナリスト
学生時代にIT専門誌で契約ライターをし、その後、大手携帯電話会社の新ビジネス企画担当などを経て、1999年にジャーナリストとして独立。ウェブ媒体やビジネス誌、新聞各紙を中心に執筆する。通信およびインターネット、ITS、次世代交通システムなどの分野で、技術および市場動向の取材、ユーザーニーズの分析を行っている。21世紀の交通社会に向けたクルマの進化、安全および環境分野での先進技術/サービスの開発・普及と、利用促進に向けた取り組みを重視している。2008年からCOTY選考委員。

《神尾寿》

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