シングルフレーム・グリルがうまく溶け込んだフロントビューもさることながら、新型『A4』はリアビューがいい。優等生っぽい一方であまり主張のなかった先代と違い、ちょっとワルっぽい横長のテールランプをうまく配置したところに魅力を感じる。
ワイド&ローを強調して大きくなったボディにもよく合うし、なにより存在感が増して所有欲をくすぐる。インテリアの質感の高さは他でもさんざん述べられている通り、満足いくレベル。ただ、ステアリングの形状はもうちょっと遊んでもいいかな、という気はする。操作性でもスポーツパッケージの3本スポークに軍配をあげたいし、『TT』のようなステアリングを用意してくれれば文句なし。
大きくなったボディがかえって小さく感じる走り味は、やはり全体のバランスが向上したからだろう。
「3.2FSIクワトロ」はもちろん「1.8TSFI」でも上りのワインディングを元気に駆け抜けられるし、エンジンパワーも不満はない。ただ、こうなるとやはり「Sトロニック」(VWでいう「DSG」)が欲しくなる。近い将来に導入されるであろうタテ置きエンジン用の新Sトロニックにも期待大だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
田畑修|フリーランス・ライター
1957年東京生まれ。1980年に日刊自動車新聞社に入社し、『輸入車ガイドブック』編集長などを歴任後、1998年からフリーランスに。古き良き時代のクルマ社会に関する記事や自動車産業の動向、参加型モータースポーツのレポートなどを手がける。