日立製作所は、シンガポールの研究機関であるインスティチュート・オブ・ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(IHPC)と共同で、ナノメートルの精度を持つ分子シミュレーション技術を開発。電子機器の配線に用いる金属と、その被覆材である樹脂との接着面がはがれる様子を可視化することができる。
この技術は、金属と樹脂の接着面に力が加わることによってはがれる様子を、金属と樹脂のそれぞれの原子間に作用するバネのモデルに置き換えてシミュレーションを行うことで、計算に必要な時間を大幅に短縮し、接着特性を精度良く求める技術だ。
これにより、従来のシミュレーション技術では困難だった、金属と樹脂の分子レベルのはがれる様子を解析できるため、接着特性を調べるために行っていた繰り返し実験の回数を低減することが可能となる。
今後、この技術を活用して配線構造の微細化が進む電子機器の設計に応用することで、配線に用いられる金属とより接着性の高い樹脂の材料選択が可能になる、としている。