三菱化学は、自社開発した触媒を用いてブテン類からブタジエンを製造する新技術を開発し、水島事業所のパイロットプラントで工業化技術確立の目処が付いたと発表した。今後はプロセス設計などを行い、来年度に技術パッケージ化を図る。
ブタジエンは、ナフサ分解から得られる成分の約11%のC4留分のうち、約40%を占め、C4留分から抽出する方法によって製造されている。
ブタジエンの主な用途は合成ゴム原料などで、最近、自動車タイヤ用途を中心に需要が拡大している。
ブタジエン抽出後のC4留分の約30%を占めるノルマルブテン類は、種々の用途に使用されており、燃料やナフサクラッカー原料として消費される量も多い。同社の新技術は、このブテン類を原料としてブタジエンを製造するもので、ナフサ分解によって得られるブテン類だけでなく、石油精製におけるFCC(流動接触分解)設備から得られるブテン類にも適用可能。
ブタジエンをナフサ分解C4留分からの抽出以外の方法で製造する技術で、現在商業的に実施されているものはほとんど無いが、同社はこの技術の高いコスト競争力を活かし、自らブタジエンの製造を行うことを検討するとともに、国内外の多くのナフサ分解炉、FCC設備からのブテン類を利用してブタジエンを製造することを計画する会社への技術供与も検討する。
今後、ブタジエン事業に関心ある会社、エンジニアリング会社などとの協力関係の構築に向けた協議を開始する。