社会状況を反映してのことなのだろう。デトロイトモーターショーのプレスデーは、例年に比べると会場内に人が少ない印象だ。
しかし、プレス向けの発表会などを見ると、プレスとして訪れている人の数は決して少なくない。どうやら大幅に減っているのは、視察などで訪れる自動車メーカー関係のスタッフのようだ。
某日本メーカーの関係者によると、「日本から出張でデトロイトモーターショーに訪れているスタッフの数は例年の4分の1程度」とのこと。皮肉にも、「会場内が混雑していないことで、写真が撮りやすいから仕事がはかどる」とカメラマンには好評だ。
そんな状況でも、各国のモーターショーと変わらずに大活躍しているのが車両のチェックに熱心な東洋系の人たち。メジャーを片手に隅々まで徹底的に数値を測定し、車体の裏側はもちろんのことトランクのヒンジやボンネット裏など細部まで徹底的に写真を撮っている姿を見かける。
「ずいぶん仕事熱心なプレスだな、誌面でどこまで細かく紹介するのだろうか?」と、最初は取材の熱心さに感動すら覚えた記者だが、実はそうではないらしい。
彼らは、自動車メーカーの社員、もしくはメーカーに依頼された調査会社のスタッフというのが真相のようだ。先を走る日欧米の自動車メーカーが作り上げた車両を徹底的に調査し、少しでも距離を縮めようとバレバレのスパイ活動をおこなっているのである。