東芝は17日、富士通のハードディスクドライブ(HDD)事業を買収することで富士通と基本合意したと発表した。両社は合意に基づき、事業譲渡に関する最終契約書を締結し、2009年度第1四半期を目標に譲渡を完了する。
譲渡対象の事業は今後設立される新会社に移管、東芝はこの新会社株式のうち約80%を取得し、グループ傘下に置く。円滑な事業移管を考慮し、譲渡後一定期間は富士通が20%未満の新会社株式を所有するが、その後に東芝が残りの株式を取得して100%子会社にする予定。
両社は、HDD事業を統合することで、東芝は高いシェアをもつノートPC、車載、携帯端末、家電向け小型HDD市場でトップ・ベンダーの地位を確固たるものとなる。さらに、富士通の強みであるサーバ、ストレージ・システムなどの企業向けHDD事業を統合することで、今後データ・ストレージ需要の継続的増大が見込まれる同分野でのシェア拡大を目指す。
特に大きな成長が期待されるSSDについては東芝のNAND型フラッシュメモリ技術、富士通のエンタープライズHDD技術を融合することでサーバ向け高性能SSDの開発を進める予定。これにより広範囲なストレージ・デバイスの需要をカバーすることが可能となり、大きなシナジー効果が期待されるとしている。
今回の東芝・富士通のHDD事業の統合を機に、HDD向け部品業界との連携を強化し、コスト低減、新技術の開発加速を図る。東芝は、事業統合により、2015年にはHDD市場全体で20%以上のシェア獲得を目指す。
東芝が富士通から譲り受ける事業の対象範囲は、HDD用ヘッド、メディア事業を除くHDD事業。これに伴って東芝は富士通および同社関係会社が国内外に持つHDD事業の設計、開発、製造、販売等の機能を取得する。