フランス車ってつくづく挑発的だと思う。ミドルクラスで家族ターゲットのシトロエン『C4』。デザインはこんな丸っこくてオトナシイし、ダッシュボードは広くて車内はゆったり空間だし、座ればシートはしっとりふかふか。
そうして油断をさせておきながら、実際、アクセルを踏み込むと、おいおい、ちょっと待てよ、という加速をするのだから。
試乗した新型の1.6リットルターボエンジンときたらすごくパワフルである。しかもニクイのは、躊躇したようにアクセルを踏むとターボがきかず一瞬、だらっとなることだ。そう、C4はもっとアクセルを踏んでこいと挑発する。そして覚悟をきめて走らせると、クルマがしっかり応えるという仕組みになっているのである。
見た目に油断してぼーっと走らせている場合ではない。パリの凱旋門のランアバウトでは、ぼーっと走っていたら、いつまでたってもぐるぐるとまわり続けなければならなくなる。フランスとはそういう国なのだ。毎日をほんの少し特別に色づけしたい人には、もってこいのクルマだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/エッセイスト
女性誌や一般誌を中心に活動。イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に精力的に取材中するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。JAF理事。チャイルドシート指導員。国土交通省安全基準検討会検討員他、委員を兼任。