ホンダは「Interfaceに対するこだわり」というデザインのキーワードがある。簡単にいうとインテリアにおける人と空間の関係性という意味だ。そしてそのInterfaceにおいて、2000年ぐらいから「瞬間認知」「直感操作」という考え方で開発を進めてきているという。
「2000年代くらいからフォワードキャビンという方向性にクルマの骨格を変えてきています」とは本田技術研究所の常務取締役兼四輪R&Dセンターデザイン開発室室長、海老澤伸樹氏。
「フロントウインドウの下を少し前に出して、最終的には人がクルマ全体に対して前に座るというMM(Man Maximum Mech. Minimum)思想を極めていくものです」
「運転する時、当然ドライバーは外を見ているので、視線移動をミニマムにしておきたいと考えました。運転している時の視野に、クルマとして非常に重要な情報であるスピードメーターが入るように作ったのが、2005年の8代目『シビック』に搭載した、マルチプレックスメーター。これが瞬間認知という考え方の典型的な例です」
「それから直感操作という部分では、『オデッセイ』に搭載したナビのプログレッシブコマンダーというインターフェイス。これは、なるべく画面は遠い方において視線の移動を少なくしよう、と」
「そうすると操作の手が届かなくなってしまうので、画面を見ながら手元に置いたコマンダーで操作する。さらにはその操作のフィードバックを音声で確認する。これらのインターフェイスを“3D”(視る、触る、聴く)と呼んでおり、この3Dインターフェイスの考え方で開発したのがプログレッシブコマンダーです。お客様の姿勢や視線をなるべく変えずに、安全に操作してもらいたいという表れです」