ホンダが4月13日に試作車を公開し、今年12月にリース販売を開始すると発表した電動二輪車『EV-neo(イーブイ・ネオ)』は、東芝製リチウムイオン電池「SCiB」を採用した。これについて、開発を担当した本田技術研究所・二輪R&Dセンターの本田幸一郎研究員は次のように説明した。
「量産可能な体制にある電池かどうかも大切でしたが、性能面も重視しました。EV-neoはビジネスユースを前提に、30kgの荷物を積んで斜度12度の坂道を発進できるなど、タフであることを特長としました。充放電を繰り返しても性能低下が少ないSCiBはその点で理想的といえます」
車体内部に充電機を持たず、別体としている点も特徴である。車両重量を軽く抑えるためもあるが、ひとつの事業所が数台のEV-neoを使用する状況が多いことを考えると、台数分の充電機は必要ないという判断があったそうだ。
モーターについて、効率面ですぐれるインホイールタイプを採用しなかったのは、汎用性を考えた結果だという。
「電動車両の開発・生産技術を高めるうえで、ハイブリッドカーの『インサイト』や福祉車両の『モンパル』などの経験は生かすべきと考えました。今回のモーターではインサイトの生産施設や部品、モンパルの組立工場を使えるように、この方式としたのです」
ビジネスユースを前提としてバッテリーの種類や充電器の有無を決める一方で、モーターについては四輪車や福祉車両との共用を目指すなど、EV-neoの内容は予想以上に絞り込まれている。本格的な量産・量販を念頭に置いた作りであることが理解できた。