初代から2代目まで、『インプレッサWRX STI』といえば4ドアのイメージが強かった。しかし、2007年10月に3代目となる現行モデルになって状況は一転。ボディは5ドアに一本化され、4ドアのWRX STIは廃止されてしまったのだ。
ところが、先日のマイナーチェンジで突然の4ドア復活。「WRX STIは4ドアに限る」とこだわる4ドアファンにとっては“待ちに待った登場”である。
「実は、4ドアを待望するお客さんは少なくなかったんですよ」というのは、スバル商品企画本部でインプレッサWRX STIに関わる毛利豊彦主査だ。
「とにかくお客様の要望が強くて。それで、このマイナーチェンジのタイミングで追加して市場の要望に応えたわけです」
4ドアWRX STIの開発スタートは約2年前。「5ドアのWRX STIを発売したときにはまったく考えていなかった」そうだ。
そんな4ドアのWRX STI、想定するターゲットユーザーはまず、スバリストと呼ばれるスバルファンであるのは言うまでもない。先代インプレッサのほか、『レガシィB4』からの乗り換えユーザーも視野に入れているという。
また、プレステージ性を持ったハイパフォーマンスセダンを求める層にも訴求していきたいと開発陣は考えているようだ。
「実は、5ドアではAT仕様の『Aライン』の比率が半分を超えています。4ドアでもプレステージ性を高めるという意味で、Aラインにはタン色のレザーシートやサンルーフなどを組み合わせた『プレミアムパッケージ』を用意しました。」(毛利氏)
単純に4ドアモデルの登場という意味では、過去に戻ったようにも感じる今回の追加劇。しかし、従来と違ってAT仕様が存在し、プレミアムを謳うバージョンが用意されるなど従来と違ったアプローチも用意されているのが興味深いところである。
ちなみに、4ドアも5ドアと同様にMT車は高回転の気持ちよさを重視した2リッターエンジン、AT車は低回転のトルクを重視して2.5リッターエンジンを搭載。足回りも、AT車のほうが若干マイルドに仕立ててある。