[大人の夏休み]レーサーになる…乱高下するポジション

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予定周回を終えてピットインしてきたAIOC145。ピットとレースカーのコミュニケーションはサインボードと車載した携帯電話で行われていたようだ
予定周回を終えてピットインしてきたAIOC145。ピットとレースカーのコミュニケーションはサインボードと車載した携帯電話で行われていたようだ 全 4 枚 拡大写真

フィアット江戸川/アルファロメオ江戸川がレーシングサポートをユーザーのために行うAIOC。アイドラーズ12時間+9分間耐久レースのローリングスタートを任されたファーストスティントはT氏が担当した。

とくにスタート直後の数十分間は速いクルマと遅いクルマがコース上に点在しており、しばらくは抜く方も抜かれる方も緊張する場面となる。しかし40〜50分も走行していると、順位がある程度落ち着きを見せてくるようだ。65番手という順位からスタートした「AIOC145」は毎周ポジションアップを続けてなんと30位まで順位を押し上げてきた。

しかし、好事魔多し……。17周目のT5でスピンを喫したAIOC145はグラベルに嵌ってしまう。通常のレースなら自力で脱出できなければここで終わりなのだが、このレースの場合、ウインチ付きのレッカー車両がコース復帰が果たせるように救出してくれるのだ。これもホビーレースならではの場面のように感じた。しかしAIOC145にとっては手痛いタイムロスに違いない。しかし走り終えたT氏を責める者は誰もいない。ここから再スタートだという雰囲気がピットの一角に溢れていた。

給油作業を行うAIOCのチームメンバー。1回の給油に許された量は20リットルだ。1人がクルマの金属部分にアースを取り付け、すぐさま持参した消火器を構える。もう1人がガソリンの入った携行缶を持ち上げ、さらにもう1人が燃料ホースのコックを開閉する。1回の給油を行う毎に10分間の作業停止が義務づけられ、その間はクルマの整備や次のドライバーへの交代も許されないのである。

1走目でグラベルからの救出に約15分のタイムロスを喫し、2走目のN氏がコースに戻ったときには80位にまでポジションを落としていた。N氏が午前10時頃にスティントを終えた時点での順位は64位。3走目はT氏で、20周を走って31位まで挽回してきた。この時点でやっと1走目のビハインドを取り戻したことになる。

しかし、4走目のO氏が正午近くの熱い時間帯にコースインしたときには56位まで順位が落ちていた。これはどういうことなのか……?

前述したように、給油作業を行うと10分間の作業停止時間が義務づけられる。AIOC145はガス欠という不測の事態を避けるために、ドライバー交代毎に毎回給油という戦略をとっていた。しかし、ライバルチームのなかに給油を先延ばしにする戦略をとれるチームがあったとしたらどうなるだろうか。ドライバー交代をスピーディに行えば30秒から1分程度でピットアウトは可能だろう。

つまり給油時間の10分という十字架が重くAIOC145にのし掛かる戦いとなったのだ。コース上で順位を上げて、ピットで順位を落とす場面が何度も見られた。つまりアイドラーズ耐久レースでは、燃費に優れ、コース上でも速いクルマが有利になる。経験のあるチームの多くは、ドライバー交代2回に1回で給油といったペースで周回を重ねていた。

AIOC145の4走目を担当したO氏は56位から23位まで挽回。5走目のH氏は35位に落ちたところから20位まで順位を上げる。6走目のK氏は30位のポジションから16位まで挽回。7走目のM氏は27位でコースインして18位まで順位を上げる。

チームはI氏に交代する際にフロントタイヤを交換することにした。I氏のコース復帰時点は30位だったがその直後にコース脇で炎上するクルマがあり、安全のためにセーフティカーが介入された。こればかりは運が左右し、人為的には如何ともし難いのだが、セーフティカー導入直後にピット作業を行うことができればコース上でのロスタイムが少なくなる。

しかし、I氏のスティント中に再びホームストレート上で大きな事故が発生してしまった。スロー車両がハザードも点灯せずにレコードラインを走っていたところ、後続車がそれを避けられずに激突してしまったのだ。しかし、サーキット上の出来事に公道と違って事故原因も過失割合もない。ぶつけた方もぶつけられた方も悪い。レースはこの時点で赤旗中断となってしまった。

アルファロメオ江戸川
supported by フィアット/アルファロメオ江戸川

《編集部》

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