過去のさまざまな衝突テストで、安全性が疑問視されてきた中国車。欧州を代表する衝突安全試験、「ユーロNCAP」において、中国車の初テストが行われた。
ユーロNCAPの衝突テストは、前面オフセットが64km/h、側面が50km/h、ポール衝突が29km/h、歩行者衝突が40km/hで実施。日本や米国の基準とほぼ同じ、世界で最も厳しい条件で行う衝突テストである。
またユーロNCAPは、2009年2月から新評価システムを導入。評価の割合に応じたポイント配分システムを採用した。例えば、最重要視される「成人乗員保護性能」には、ポイントの50%を配分。「子ども乗員保護性能」と「歩行者保護性能」には各20%、エアバッグやABS、ESPなどの「安全補助装置の有無」には10%を配分する。最高評価の5つ星を獲得するためには、総合評価が90ポイント以上必要とされる。
ユーロNCAPコンソーシアムが24日に発表したところによると、中国の陸風汽車(ランドウィンド)の中型ミニバン、『CV9』が中国車として初めて、ユーロNCAPの衝突テストを受けた。その結果は、最高評価が5つ星のところ、2つ星にとどまったという。
CV9のテスト結果を検証すると、成人乗員保護性能が12点、子ども乗員保護性能が22点、歩行者保護性能は11点、安全補助装置の有無が2点。合計ポイントは47点となり、総合評価は2つ星となった。
ちなみに、過去のユーロNCAPで最高の5つ星に輝いたモデルでは、BMW『5シリーズ』が110点、アルファロメオ『ジュリエッタ』が106点、フォルクスワーゲン『ゴルフ』が103点を得ており、これら「世界基準」と比べれば、陸風汽車のCV9の安全性は低いと言わざるを得ない。
テスト結果を受け、ユーロNCAPコンソーシアムのMichiel van Ratingen氏は「欧州では今後数年以内に、中国やインドなどの車が多く走るようになる。我々には、これらの車の安全性を消費者に知らせる義務がある。陸風汽車が、さらに安全性を向上させると信じている」とコメントしている。