国土地理院は19日、宮城県石巻市に設置された電子基準点「牡鹿」の変動データを公表した。「牡鹿」は震災による損傷を免れた震源地にいちばん近い地点に設置されている。
国土地理院が新たに取得したデータを解析したところ、地震直後に東南東方向に約5.3m移動し、垂直方向でも約1.2m沈下していた。
国土地理院は94年から観測を開始したが、5.3mもの水平移動は観測史上初めてのケースだ。「広い範囲で、かつてない信じられない大きな変動が起きている」(国土地理院)。
また、各地の基準点を解析したところ、本震があった11日と19日を比較すると、「山田」(岩手県山田町)で25cm、「銚子」(千葉県銚子市)で17cmなどの移動がみられ、地震後も地殻変動が続いていることがわかった。
「地盤が沈下した地域では、今後、大潮などによる浸水の被害が心配される」(同上)
地殻変動を監視する観測点「電子基準点」は、通常はネットワークで結ばれ、リアルタイムで情報が収集される。
震源地に近い地域の電子基準点のデータは、11日14時46分の発生後数十分で通信が途絶えた。多くは津波の影響で損傷した上に、立ち入りができない場所もあったため、データの収集ができず、職員が現地で直接データの採取を行って解析を進めている。