一日の取材を終えた夕方6時頃、飛び込み訪問したジャカルタ市マンパン・プラタパン通りのトヨタディーラー。「日本から来たのだが店長に2〜3質問をしたい」と取材を申し込むとセールスマンのスリヤントさんは、「ちょっと待ってください」と奥のオフィスに引っ込んだ。しばらくして「取材は本社を通さないといけないそうなので、お客さんとして私があなたと会話します」とチャーミングなコメント。
--- では客として質問しますよ。この店では月に何台トヨタ車を売りますか?
店舗全体については私の権限では話せません。申し訳ありません。私はジュニアセールスカウンターなので月5台が目標です。シニアセールスカウンターは10台から15台を目標設定しています。
--- トヨタ車は売れていますか?
トヨタはインドネシアではブランドイメージがとても高く、たくさん売れます。(注:販売シェア約36%)良いイメージはここインドネシアで自動車のパイオニアとしての長い歴史によるところが大きいと思います。車の信頼性や修理しやすい環境にあることも売れている原因だと思います。
--- 並行輸入の『アルファード』、『ヴェルファイア』が多く走っていますが、これらが持ち込まれても修理をするのでしょうか。
アルファードは販売もしていますので修理できます。ヴェルファイアは扱っていない車種なので普通は行いませんが、依頼があれば修理いたします。トヨタブランドに対する信頼には応えてゆかねばなりません。
--- 『アバンザ』が売れている理由は何でしょうか。
インドネシアでは3列シートの車が販売の中心です。その中でもアバンザは魅力的な価格(注:136万〜174万円)とトヨタブランド、収入や宗教問わずいろいろなステイタスの人に受け入れられていることがベストセラーの理由だと思います。
--- どのくらいの収入の人からアバンザを購入できるのでしょうか。
ローンを組むためには専門の会社の信用調査が必要ですが、頭金を2〜3割用意した上で月の世帯収入が500万ルピア(5万円)くらいの人からアバンザを購入してゆきます。
--- 自動車を買いに来る人は家族で来るのでしょうか。試乗してから買いますか?
ええ、家族全員でいらっしゃいます。ディーラーのイベントの時にみなさんで試乗しておいて、購入のときの来店時は試乗なさらない場合が多いです。お子さんも含めてみなさんで楽しんで自動車を購入されます。
--- ジャカルタモーターショーには行きましたか?
もちろんスタッフ全員が交代で行きましたよ。私は土曜に行きました。素晴らしかったです。
--- トヨタブースの次に、2番目に感心したのはどのメーカーのブースですか?
1位がトヨタ、2位も3位もトヨタですよ(笑)
--- モーターショー会場では、ホンダ『ジャズ』や『マツダ2』、トヨタ『ヤリス』など5人乗りのコンパクトカーが人気ありましたが販売もそのような傾向が出ていますか?
いいえ、まだまだ5人乗りの車はお金持ちの趣味、2台目の需要です。1台目の車はやはり3列シートの車を購入してゆきます。すでにアバンザや『イノーバ』など3列シートの車を持っている人が5人乗りに注目していたのではないでしょうか。『カローラ』や『カムリ』などのセダンもこちらでは一部お金持ちの人しか乗りません。
--- 政府が多くの国民が車を購入できるように税制面などを優遇するローコストカー構想を計画中だと聞きました。もしそれが実行に移されて、1億ルピア(100万円)を大きく割り込むようなコンパクトカーが実現したら、5人乗りでもヒットすると思いますか。
それが中国のメーカーならば売れないでしょう。もしトヨタからその値段で登場すれば大ヒットは間違いなしです。
--- トヨタがモーターショーでデモンストレーションした『Wheel』をこのディーラーで販売する日はいつか来るのでしょうか。
うーん、ここでは売らないでしょう。ジャカルタの交通環境やほこりの中では将来も難しいと感じています。
--- 2〜3問のつもりが長くなってしまいました。ありがとうございました。テリマ・カシー!