ホンダは23日、日常で使うエネルギーを家庭で生産し家庭で消費する「家産・家省」をテーマにしたスマートホームの実証実験を開始した。「3年から4年のうちに事業化に持ってきたい」と、同社の山本芳春取締役専務執行役員は意気込む。
実証実験は、関係者向けにスマートホームの説明を行うプレゼン棟と、実際に生活してデータを収集する居住棟の2棟を同社が建設、埼玉県が提供したさいたま市内の土地を利用した。
居住棟1棟の独立した実験に加え、実験期間の3年間に、居住棟をもう1棟増やして、家屋間の連携を含めた実験へと拡大させる。居住棟には同社の社員が、実際に住み込んでデータ収集や、スマートホームの居住快適性について検証する。
スマートホームに関連する実験は各地で行われているが、実際に生活しながら、しかも都市部で実証を行う例は、極めて珍しい。
ホンダがスマートホームに力を注ぐ意義を問われ、ホンダの山本氏は、こう話し始めた。
「ホンダはモビリティ会社ではあるが、弊社の社名通り、自動車ではなく、本田技研工業。古くから発電機、芝刈り機、耕耘機の汎用製品を事業として営んでいる。自動車ビジネスは巨大だが、汎用では累計で1億人のお客様とお付き合いしている会社でもある」
続けて、スマートホーム事業に取り組む意義を、モビリティ会社の側面からもこう強調した。
「自由な移動の歓びは重要だ。EVのエネルギーはクリーンで安定的に電力が供給されることが前提だが、震災移行そうもいかなくなった。では、クリーンで安定的なエネルギー供給のためにはどうすればよいかということで、クルマと暮らしをつないで、スマートホームという形でエネルギーを家産・家消していくことを模索していく」
実証実験で使われるガスコージェネレーションユニットや、CIGS薄膜太陽電池パネルは、すでに市販されている。非常時に蓄放電を行うEVモビリティも、今年中に発売予定だ。
実証実験は、これら家庭でできる多様な発電をどう組み合わせて、本来の目的である省エネに直結したスマートホームを実現できるかといった課題や、自家発電に電気自動車や電動二輪車などモビリティを組み合わせ、全体でCO2を2000年比で80パーセント削減するという目標について、検証を行うことを目的としている。
山本氏は「CO2の削減目標は、HSHS(ホンダ・スマートホームシステム)で半減。残りの30%は、高気密高断熱で20%、エコ家電で10%。トータルで80%の削減を見極めていきたい」との目標を示した。