11月20日にマイナーチェンジモデルが発表された日産『リーフ』は、航続距離が従来型の200kmから228kmになった(JC08モード)ことが大きなトピックだ。
◆パワートレーンを集約して効率化
24kWhというバッテリーの容量は従来型から変わらず、バッテリーのモジュールとケース構造は改良されたものの、セル自体は大きな変更は加えられていない。にもかかわらず、14%もの航続距離改善が実現できたのはなぜか。
日産PV第一製品開発本部でチーフ・ビークル・エンジアを務める門田英稔氏は、「パワートレーンの刷新と、それにともなう軽量化、回生領域の拡大、空調消費電力削減によって航続距離を伸ばすことができた」と説明する。
カタログ値に直接のインパクトを与えたのは、パワートレーンの刷新と、それにともなう軽量化だ。
パワートレーンについては、従来はリアシートの後ろに設置されていた充電器と、フロントエンジンルーム内に配置されていたDC/DCコンバーターおよびジャンクションボックスをPDM(パワー・デリバリー・モジュール)に統合。さらにPDMとインバーター、モーター、減速機を一体化することで機能統合を図ると共に、30kgの軽量化を実現した。また、バッテリーのモジュールとケース構造も見直して合理化し、20kgを削減している。これらと車体側での重量削減の30kgと合わせ、80kgの減量に成功、車両重量は1520kgから1440kgとなった。
回生領域の拡大については、回生協調ブレーキシステムも改良し、回生可能な車速を7km/hから3km/hにまで引き下げることで、ごく低速からのブレーキングでも回生を行えるようになったという。
◆実用燃費に効くヒートポンプ式エアコン
今回の改良で実現した航続距離の延長は14%だが、チーフ・プロダクト・スペシャリストの阿部徹氏によれば、「実用面ではJC08モードでの改善割合(14%)以上の伸び代がある」と断言する。というのは、空調システムにヒートポンプ式を採用したからだ。
大気中の熱を吸収して、それを圧縮し、その高熱部分に空気を送り伝導させるこの方式は、従来のPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒーター方式に比べて電力消費が大幅に少ない。
なお空調では、エアコンに送風モードが追加されたり、ステアリングヒーターとシートヒーターを前席に標準設定としたほか、遮熱天井を採用して冷暖房の効率を向上させるなどの改良も随所に施されている。