【ジャガー XJ スーパースポーツ 試乗】V8エンジンの魅力引き出す8速AT…諸星陽一

試乗記 輸入車
ジャガー XJ スーパースポーツ
ジャガー XJ スーパースポーツ 全 18 枚 拡大写真

ジャガーのフラッグシップサルーン、『XJ』の2013年モデルには、新たに8速のATが採用された。試乗車は燃費を11%向上、排ガスが8%低減されたスーパーチャージャー付きV8エンジンを搭載するモデルだ。

510馬力のV8スーパーチャージャーエンジンは、じつにパワフルな特性。発進時にアクセルを踏み込むと怒濤のごとく加速を始める。が、各種の電子制御デバイスのおかげで、クルマの安定感はバツグンに高い。新しく搭載された8ATのおかげもあり、発進から爆発的かつなめらかな加速が可能だ。

車重はほぼ2トンあるのだが、それをものともしないパワー感はさすが。重量級のクルマを大排気量のそれも過給器付きで走らせるのは時代遅れというなかれ、あれもこれもすべてを効率化させることだけが正解ではない。こういうクルマもあっていい。なんと最新のXJには2リットルの直4ターボも用意された。ちゃんとやることはやり、それでいてこういうタイプも残しているのである。

高速道路を100km/hで巡航している際の快適さは格別。なにしろDレンジでのエンジン回転数はわずか1250回転でしかない。もう少し低い速度で走っていて、そこから加速をしようとアクセルペダルを踏み込むと、ギヤは飛び段して4速あたりにまで落ちる。100km/h時のエンジン回転数を例にすれば、4速では3100回転。ここまで回転が上がると、ショックも大きくラグジュアリーサルーンらしさが失われてしまう。

そこで役に立ってくるのがステアリングコラムに装着されたパドルスイッチ。左のダウンスイッチを引いて、1段低いギヤを選択して加速に移るとかなりジェントルな加速が可能。さらにシームレスな加速を望むなら、右のアップスイッチを引けばいい。この場合、1段上のギヤでの加速となるので、ショックはほとんどなし。すでに8速が選ばれていれば、8速固定での加速となる。

なにしろ510馬力、625Nmのスペックを持つエンジンなのだから、ギヤダウンして強烈に加速しなくても満足のいく加速が得られる。ギヤアップ、もしくはギヤホールドで十分なのだ。そうした手順のあとに強い加速が必要な場合は、そのままアクセルを床まで踏み込めば……異次元の加速感が待っているから安心してほしい。

2013年モデルからジャガーにもアイドリングストップ機構が組み込まれた(2リットルモデルを除く)。このXJもアイドリングストップをするが、確実にクルマが停止してから若干のタイムラグがありエンジンがストンと落ちる。タイムラグといっても最近、国産車の早めに止まるアイドリングストップに慣れているからそう感じる程度の遅れだ。ブレーキをゆるめたり、ステアリングを操作したりするとエンジンが再始動。ふたたびブレーキを増し踏みしても2度目のアイドリングストップはしない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活躍中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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