三菱自動車の水島製作所(岡山県倉敷市)が新型軽自動車の生産開始に合わせて大きく変わった。というのも、日産自動車が導入している生産システムを取り入れたからだ。それによって、生産性が10%以上も向上したという。
その典型的な例がSPS(セット・パーツ・サプライ・システム)と呼ばれるものだ。これは、日産の追浜工場(神奈川県)で実践しているシステムで、1台分の部品をセットにして無人搬送機に乗せ、ラインを流れる車体と並行して動かす仕組み。
従来はライン脇の棚にさまざまな部品を並べ、作業員が車種に応じて必要な部品を選んでいた。今回のSPS導入によって、ライン脇の部品の在庫管理が不要になるうえ、組み立ての際に部品を取り違える恐れもなくなったわけだ。
そのほか、輸送面でも複数の部品を1台のトラックに混載する方式を取り入れ、コストを約20%も削減できたそうだ。また、販売前の品質確保についても、日産の考え方を参考にした。表に見えないところも含めて、さまざまなところに日産式を取り入れたのだ。
「日産の工場と徹底的に比較して、学ぶべき点を取り入れ、大きな成果を得ることができた。今後も協業の効果を生かし、“いいとこ取り”をして生産性を高めていきたい」と相川哲郎常務は話す。
ラインを流れる軽自動車は日産の『DAYZ』が圧倒的に多かったため、報道陣の間からは「日産の工場のようだ」との声も聞かれたが、水島製作所は今回の軽自動車の生産を機に、新たなスタートに立った。