【池原照雄の単眼複眼】「6月攻勢」で活気づくか国内市場

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スバルXVハイブリッド
スバルXVハイブリッド 全 3 枚 拡大写真

新モデルがゼロの昨年から一転

今年の6月は例年になく国内向けの新モデル発売が集中する。昨年秋にエコカー補助金が終了して減少続きだった新車販売は、4月にわずかながらプラスに浮上、5月も堅調だという。株価の回復など消費マインドも好転しており、自動車業界は6月攻勢に出る。

株主総会の準備に集中というわけでもないだろうが、以前から6月は新車の発表・発売が比較的少ない。昨年は日本メーカーの全面改良や新モデルの投入は皆無だった。ところが今年は一転して相当な充実ぶりだ。

来週6月6日にはまず、日産自動車と三菱自動車工業がタッグを組んで開発・生産する軽自動車がそれぞれ発売となる。2011年6月に商品企画などを担当する共同出資会社を設立して、商品化を急いできた。日産は新しい車名『DAYZ(デイズ)』、三菱は『eKワゴン』シリーズの全面改良として投入する。

スバル初のハイブリッドも登場

日産は軽自動車を全量OEM調達に頼っていただけに、自社のカラーを打ち出した念願の新モデルとなる。志賀俊之COOは「両社の知恵を集めながら、それぞれのブランドの個性を保っており、画期的な新しい協業の成果」と、DAYZへの期待を示す。軽市場での両社の合算シェアはこのところ11~12%レベルだが、14年初めには超ハイト型の新モデルも投入、早期に20%に引き上げる目標を掲げている。

登録車ではホンダ『アコード』が全面改良を機に、ハイブリッド車(HV)およびプラグインHV(PHV)として登場する。国内向けでは同社の新しいHVシステムを搭載した第1弾となる。

HVでは富士重工業(スバル)も初のモデルとなる『XVハイブリッド』を発売する。吉永泰之社長は「スバルがHVをやるとこうなるという、うちらしいクルマに仕上がった」と、商品力に自信を示す。輸入車ではすでに商品発表を終えたVW(フォルクスワーゲン)の7代目『ゴルフ』が6月25日に売り出される。最量販モデルの刷新は、好調な輸入車全体の勢いを加速させる可能性もある。

「消費マインド改善」と、峯川ホンダ専務

国内の新車マーケットは、昨年夏までのエコカー補助金効果の反動で、今年は8月までは苦戦が予想されていた。ところが4月は1.5%増の小幅ながら、前年同月を上回る実績となり、5月も軽自動車を中心に堅調に推移している。

ホンダの国内営業を担当する峯川尚専務執行役員は、足元の需要動向について「株価の回復などによる消費マインド改善の好影響もある」と見る。4月は軽自動車比率が41.6%と、ついに4割を突破し、軽頼みの感はぬぐえないものの、販売の第1線ではエコカー補助金の反動が軽微に終わるのではという手応えも出てきているようだ。

日本自動車工業会が年初に予測した13年の需要予測は、補助金の反動減などから前年を12%下回る474万台。しかし、4月までの累計では7.5%のマイナスというペースだ。6月からの新モデル効果が消費者心理の好転にかみ合えば、さらに回復力が増す展開となろう。

《池原照雄》

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